長期金利

読み方: ちょうききんり
英語: Long-term interest rate
分類: 金利

長期金利は、取引期間が1年以上の資金を貸し借りする際の金利をいいます。これは、国債や地方債、社債、預貯金、ローンなど、償還期限が1年以上の資産(債権)や負債(債務)の金融資産に適用される金利全般を指し、またその指標となる金利は、長期金融市場で形成されます。

ここでは、金融の基本用語の一つである「長期金利」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

長期金利の基本概念について

長期金利とは、広義には、個人や企業、金融機関、政府、地方公共団体、国際機関などが、期間が1年以上の資金の貸し借りをする場合に適用される金利の総称をいいます。

また、狭義には、長期金融市場(マーケット)で注目される「指標金利(償還期間10年の国債の流通利回り)」を指し、時系列や国際的に長期金利を比較する際に用いられています。

長期金利の種類

現在、日本のマーケットでは、長期金利の代表的な種類として、各年限の国債利回りや金利スワップレートなどがあり、その中で「新発10年国債利回り(新規に発行された償還期間10年の国債の流通利回り)」が指標金利となっています。

また、これらの金利は、短期金融市場の金利と共に、短期から長期までの金利(イールド)の期間構造を一本の曲線(カーブ)で表した「イールドカーブ」を形成しています。

長期金利の決定と影響

長期金利は、様々な思惑や見通しなどを反映して、マーケットで日々変動し、金融機関の個人・法人向けの融資金利や、国債・社債等の新発債の発行金利などを決定する際の目安(基準)になっています。

◎長期金利が低下して資金調達がしやすくなると、住宅購入や設備投資などが活発になり、経済(景気)に好影響をもたらすとされる(預金金利には低下圧力がかかる)。

◎長期金利が大きく上昇すると、個人は消費より預貯金に資金を回すようになり、また企業は資金調達コストの上昇から投資を控えるようになる。

長期金利の概要

長期金利の決定要素について

長期金利は、短期金利の影響も受けながら、景気やインフレ動向に関する各種予測を反映した長期資金の需給により、マーケットで日々決定されています。

理論的には、市場参加者の将来(中長期)の「実質経済成長率の予測」、「物価上昇率の予測」、「国債の需給悪化など将来の懸念材料に対する上乗せ分(リスクプレミアム)」の三要素で決まるとされ、「経済の体温計」にたとえられます。

<経済の体温計>

・景気が良く物価が上昇する局面:長期金利は上昇する
・景気が悪く物価が下落する局面:長期金利は低下する

長期金利の変動要因について

長期金利は、マーケットで様々な要因を織り込みながら日々動いており、主な変動要因(材料)として以下が挙げられます。

・市場の需給関係(逼迫・緩慢)を反映する
・高い(低い)経済成長や好景気(不景気)を反映する
・将来の物価上昇(物価下落)を反映する
・政策金利を反映した短期金利にも影響される
・債券先物市場(長期国債先物)にも影響される
・国債を売買する投資家の動向にも影響される
・中央銀行のオペレーションにも影響される
・政府の財政懸念が高まると該当国の金利は上昇する
・リスクが高まると安全資産の国債が買われて金利が低下する
・日本の長期金利は、米国の長期金利に強く影響を受ける

長期金利と債券相場について

長期金利と債券相場(債券価格)は、一般的には、以下のような関係があります。

債券市場での長期金利(指標金利)

・長期国債の買い手が少なくなる:価格は下落して利回り(長期金利)は上昇する
・長期国債の買い手が多くなる:価格は上昇して利回り(長期金利)は下落する

債券市場での債券価格(各種債券)

・長期金利が上がる:債券価格は下落する(利回り上昇)
・長期金利が下がる:債券価格は上昇する(利回り低下)

長期金利と金融緩和について

政策面で金融緩和が導入された場合、中央銀行による国債の大量購入により、人為的に金利は低く抑えられますが、その一方で金利が正しい水準を示しているかの「経済の体温計」が機能不全に陥ることもあります。

実際、2008年のリーマンショック以降、十数年にわたる世界的な金融緩和により、日米欧の中央銀行が国債を大量に購入する一方で、世界中の投資家は少しでも高い利回りを求めてイールド・ハントを行っており、一部の先進国国債でマイナス金利になるなど、異常とも言える超低金利の状態が続いています。

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