アイルランド危機
読み方: | あいるらんどきき |
---|---|
英語: | Irish Financial Crisis |
分類: | 金融危機 |
アイルランド危機は、2010年9月頃に、ユーロ圏のアイルランドにおいて、不動産バブルの崩壊で不良債権を抱えた銀行の救済などで表面化した債務危機をいいます。
欧州債務危機の第二幕として、ギリシャから飛び火したもので、2010年11月28日にギリシャに次いで、850億ユーロの金融支援プログラムが決まりました(アイルランド政府:175億ユーロ、海外支援:675億ユーロ、使途は財政支援と銀行部門支援)。
当時、アイルランドが危機に陥った背景として、同国の銀行資産がGDPの330%にまで拡大するなど、銀行が国の身の丈を超えて大きくなったことによる「銀行危機」と、米国・英国・スペイン等を上回る「不動産バブル(住宅バブル)の崩壊」が重なり、2007年から2010年までの約3年間に名目GDPが約16%も落ち込むという、先進国でも稀に見る「深刻な景気後退」に陥ったことがありました。
また、支援時の特色として、財政の失敗ではなく、危機の核心が「銀行問題」であったこと、差し迫った資金調達の必要がなかったものの、国際的な圧力からやむなく金融支援を受けることになったこと、他の救済国と異なり潜在成長力が国際的に高かったことなどが挙げられます。
その後、アイルランドは、銀行部門の強化、大規模な財政改革や赤字是正、労働市場改革などに取り組んだ結果、財政健全化や経済活性化が順調に進み、2013年12月にユーロ圏の救済国の中で最初に金融支援プログラムを脱却しました。