国民医療費
【読み方:こくみんいりょうひ、分類:医療】
国民医療費は、病気やケガの治療のために医療機関に支払われた1年間の医療費の総額をいい、日本においては、当該年度内の医療機関等における「保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用」を推計したものを指します。
毎年、厚生労働省では、「国民医療費の概況」を発表しており、具体的な数値は、制度区分別国民医療費、財源別国民医療費、診療種類別国民医療費、年齢階級別国民医療費、傷病分類別医科診療医療費、都道府県別国民医療費などで集計されています。
国民医療費の範囲
国民医療費とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となりうる傷病の治療に要した費用を推計したものをいいます。
現在、この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費などが含まれる一方で、保険診療の対象とならない評価療養(高度医療を含む先進医療等)、選定療養(特別の病室への入院、歯科の金属材料等)、不妊治療における生殖補助医療等に要した費用は含まれません。
また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断、予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼・義肢等の費用も含まれません。
財源別の国民医療費
現在、国民医療費は、健康保険料や税金、患者の自己負担額が財源となっていますが、21世紀に入ってから急速な高齢化の進展により年々増加しており、その抑制が大きな課題となっています。
|公費|
公費負担医療制度、医療保険制度、後期高齢者医療制度等への国庫負担金、および地方公共団体の負担金
|保険料|
医療保険制度、後期高齢者医療制度、労働者災害補償保険制度等の給付費のうち、事業主と被保険者が負担すべき額
|その他|
患者負担及び原因者負担(公害健康被害の補償等に関する法律及び健康被害救済制度による救済給付等)
※財源別の国民医療費:制度区分別給付額等を各制度において財源負担すべき者に割り当てたもの。
診療種類別の国民医療費
現在、診療種類別の国民医療費には、以下のものがあります。
|医科診療医療費|
医科診療にかかる診療費
|歯科診療医療費|
歯科診療にかかる診療費
|薬局調剤医療費|
医師の発行する処方箋により、保険薬局を通じて支給される薬剤等の額(調剤基本料等技術料と薬剤料の合計)
|入院時食事・生活医療費|
入院時食事療養費、食事療養標準負担額、入院時生活療養費、および生活療養標準負担額の合計額
|訪問看護医療費|
訪問看護療養費及び基本利用料の合計額
|療養費等|
健康保険等給付対象となる柔道整復師・はり師等による治療費、移送費、補装具等