シンジケートローン

英語: Syndicated Loan
分類: 融資

シンジケートローンは、「協調融資」とも呼ばれ、大型の資金調達ニーズに対して、複数の金融機関が協調してシンジケート団を組成し、一つの契約書に基づき同一条件で融資を行うことをいいます。これは、取りまとめ役の金融機関が資金の調達側と調整して利率や期間などを設定し、複数の金融機関と分担して融資する方式となっています。

ここでは、大型の資金ニーズに対応できる「シンジケートローン」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

シンジケートローンの仕組み

シンジケートローンは、顧客(企業等)の資金調達ニーズに対して、取りまとめ役(アレンジャー)の金融機関(主幹事)が複数の金融機関を取りまとめてシンジケート団を組成し、一つの融資契約書に基づいて貸し出しを行う形態をいいます。

シンジケートローンの関係者

|アレンジャー|
シンジケート団を取りまとめる主幹事として貸出条件の検討、参加金融機関の招聘、契約書の作成などの役割を担い、顧客とシンジケート団の間の調整を行う。

|エージェント|
契約期間中の事務代行として、元利金の受け渡しや契約の管理を行い、通常、アレンジャーに就任した金融機関がエージェントに就任する。

|パーティシパント(参加金融機関)|
シンジケート団に参加する金融機関で、協調して融資を実行する。

|顧客(借入人)|
大型の資金ニーズがある企業等で、シンジケート団から融資を受ける。

シンジケート団の組成方式

|ジェネラル・シンジケーション方式|
新規取引金融機関も含め、幅広く参加金融機関を募集してシンジケート団を組成する方式。

クラブ・ディール方式
既存取引金融機関など限られた金融機関でシンジケート団を組成する方式。

シンジケートローンの種類

シンジケートローンの種類としては、大きく分けて、タームローンコミットメントライン、コミット型タームローンの3つがあります。

また、本ローンは、日本市場で資金調達をする海外企業等にも利用されており、これに関しては「クロスボーダーシンジケートローン(ニンジャローン)」と呼ばれ、その中で円建てのものは「サムライローン」と呼ばれます。

タームローン

証書貸付の形態で、契約時に一括して借入するか、あるいは契約時から一定期間内に分割して借入する方式。主に長期的な運転資金や設備資金、リファイナンス資金などとして利用される。

コミットメントライン

予め設定した融資枠や期間の範囲内で、借入人の請求に基づき、短期の融資を実行することを約束する契約。安定的な運転資金枠や緊急時の保険的な資金枠などとして利用される。

コミット型タームローン

予め設定した融資枠や期間内で、借入人の請求に基づき、長期の資金を実行することを約束する契約。資金調達時期が未確定な長期的な運転資金や設備資金、リファイナンス資金などの資金枠として利用される。

シンジケートローンの金融形態

シンジケートローンは、「市場型間接金融」と呼ばれる金融形態を代表する資金調達手法で、直接金融の特徴である市場性と間接金融の特徴である柔軟性を併せ持った手法となっています。

また、プロジェクト投資や設備投資のような長期資金の調達を行う場合だけでなく、コミットメントラインのような短期融資枠の組成や、コミットメントラインと複合したコミット型タームローンなどにおいても有効な手法となっています。

なお、市場型間接金融とは、広く財務内容を開示したり、債権の流通可能性を高めたりすることによって、資金調達の可能性を広げることを目的に、直接金融の証券ではなく、間接金融の借入金によって資金調達を行うものをいいます。

シンジケートローンの成否

シンジケートローンは、複数の金融機関でシンジケート団を組成するため、その成否は金融機関を取りまとめるアレンジャーの「案件組成能力」が大きなカギとなります。

案件の組成

アレンジャーは、借入人からの指名により、案件の組成委託(マンデート)を請け負う。これにより、契約条件の検討、シンジケート団を構成する貸付人となる金融機関の募集や組成、契約締結手続きなどの案件の取りまとめを行う。

案件の契約締結後

通常、契約締結後、アレンジャーを務めた金融機関がエージェントに就任し、エージェントは各貸付人の代理人となり、契約期間中の借入人と貸付人間の通知取次や、元利金の受け払いなどの資金決済に関する事務面の取りまとめを行う。

シンジケートローンの主な特徴

シンジケートローンでは、金融機関側は貸し倒れのリスクを分散できる一方、調達側はまとめて多額の資金を調達することができます。また、主幹事行は、貸出金利に加えて、アレンジメントフィー(組成手数料)やエージェントフィーを稼げるため、現在、メガバンクなどは投資銀行業務の一つの柱に位置付けています。

・一つの融資契約書に基づき、取引条件を統一できる
・資金調達手段の多様化が図れ、特に大型の資金調達ができる
・債券に比べて、自由な取引条件(金利・返済等)を設定できる
・複数の金融機関からの借入取引である(各金融機関は個別に融資を実行し、専用口座に振り込む)
・コミットメントラインを利用する場合、バランスシートのスリム化が可能となる
・アレンジャーが案件を取りまとめるため、顧客の条件交渉や事務管理の負担が軽減できる
・資金の調達窓口や調達余力を拡大できる
・通常の金利の他に、各種手数料がかかる
・対外的な信用度がアップし、PR・IR効果が期待される

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