サステナビリティボンド
英語: | Sustainability Bond |
---|---|
分類: | 債券通称 |
サステナビリティボンド(サステナビリティ債)は、資金使途を環境・社会の持続可能性に貢献する事業に限定した債券をいいます。
2013年頃に世界で最初に起債され、当初は、政府系金融機関や地方自治体などの公共機関で発行されていましたが、その後、商業銀行や事業会社などの民間企業でも発行されるようになりました。
目次:コンテンツ構成
サステナビリティボンドの定義
サステナビリティボンドは、国際資本市場協会(ICMA:International Capital Market Association)の「サステナビリティボンド・ガイドライン 2018(Sustainability Bond Guidelines June 2018)」によると、以下のように定義されています。
「Sustainability Bonds are bonds where the proceeds will be exclusively applied to finance or re-finance a combination of both Green and Social Projects.(サステナビリティ債とは、その手取金の全額がグリーンプロジェクト及びソーシャルプロジェクト双方への融資または再融資に充てられる債券である)」
サステナビリティボンドの事例
サステナビリティボンドは、欧米やアジアなどで発行されており、日本の発行体としては、公共機関では日本政策投資銀行が2015年10月に初めて起債し、また一般事業会社ではアシックスが2019年3月に初めて起債しました。
ちなみに、米国企業で最初にサステナビリティボンドを発行したのは、コーヒーチェーンのスターバックス(Starbucks)で、世界的に有名な事例として知られています。
<スターバックスのサステナビリティボンド>
2016年5月にコーヒー栽培・流通を長期的にサステナブルにするためのプロジェクトの資金調達で5億ドルの債券を発行(10年物優先債の表面利率は2.45%)。これら一連の取組みは、自然資源の持続可能な利用のみならず、農家の所得向上にも寄与し、またSDG 15(生態系の保護)やSDG 2(持続可能な農業の推進)へも貢献。
サステナビリティボンドのフレームワーク
サステナビリティボンドは、グリーンボンド原則(GBP)とソーシャルボンド原則(SBP)の両方に共通する、以下の4つの核となる要素に適合している債券です。
(1)調達資金の使途 : Use of Proceeds
(2)プロジェクトの評価と選定のプロセス:Process for Project Evaluation and Selection
(3)調達資金の管理:Management of Proceeds
(4)レポーティング:Reporting
特にGBPは該当グリーンプロジェクトに関連性が高く、またSBPは該当ソーシャルプロジェクトに関連性が高いものとなります。また、本債券の発行体は、起債にあたって、この4つの核の対応方針である「フレームワーク」を作成します。
一般にグリーンボンドやソーシャルボンド、サステナビリティボンドなどのESG関連ファイナンスでは、対象となるファイナンスが関連する各種原則等に適合しているか否かについての第三者評価である「セカンドオピニオン」を取得することが推奨されています。
現在、サステナビリティボンドでは、そのフレームワークに対して、調査会社や監査法人などからセカンドオピニオンが取得されています。
サステナビリティボンドの期待される背景
サステナビリティボンドが期待される背景には、世界的なESG投資の急拡大があります。
当初は、ESG投資の受け皿となる債券として、2014年にICMAがグリーンボンド原則を策定して以降、グリーンプロジェクトを対象としたグリーンボンドが急成長しました。また、2015年に採択された「SDGs」への意識の高まりの中で、ソーシャルプロジェクトを対象としたソーシャルボンドも注目されるようになりました。
そして、このような状況の中、グリーンプロジェクトとソーシャルプロジェクトのいずれにも利用可能な「サステナビリティボンド」が登場し、本債券は、公共機関などがSDGs達成に必要な資金ギャップを補うと共に、SDGsに貢献するプロジェクトの直接的な資金調達手段としても期待されています。
※SDGs:"Sustainable Development Goals"の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳される。