タックスヘイブン

英語: Tax Haven
分類: 租税回避地

タックスヘイブン(Tax Haven)は、「租税回避地(租税避難地)」とも呼ばれ、所得や財産などに対する税が著しく少ないか皆無である国や地域の総称をいいます。

現在、税制面の利便性(優遇措置)から世界の多くの企業や個人がタックスヘイブンを利用していますが、このような慣行を容認すると、世界経済において、税負担の公正を損じたり、税率が資金配置の決定の支配的要因となったりするといった弊害が生じると指摘されています。

また、本国の当局の監視の目が届きにくいため、企業の不正会計、富裕層の脱税、犯罪資金やテロ資金のマネーロンダリング(資金洗浄)の温床にもなっています。

このような状況に対して、経済開発協力機構(OECD)は、2009年からタックスヘイブンのリストを公表して改善を促しているほか、米国では、外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)という国内法で、外国に口座を持つ米国人の情報を外国金融機関に提供させています。

タックスヘイブンの仕組み

タックスヘイブンは、世界で経済の自由化が進む中、基幹産業が少なく、外貨の獲得源が乏しい小国や地域が、税金を極端に低くする手法(税制上の優遇措置)を提供することで、外国企業や富裕層の資産を集めるという仕組みになっています。

一方で、タックスヘイブンの利用者は、現地にペーパーカンパニーを作り、所得や資産を移すことで、納税額を大きく減らすことができます(多国籍企業や金融機関、ヘッジファンドなども、タックスヘイブンに多くの特別目的会社(SPC)やファンドを設立している)。

世界各地のタックスヘイブン

現在、タックスヘイブンは、世界各地にあり、多くの企業や個人が利用しています。

中南米・カリブ海

ケイマン諸島、バージン諸島、バミューダ諸島、セントクリストファー・ネイビス、キュラソー、バハマ、パナマ、コスタリカ、ドミニカ、グレナダ、ウルグアイ

アジア・太平洋・インド洋・中近東

シンガポール、香港、ブルネイ、フィリピン、マレーシア領ラブアン島、マーシャル諸島、クック諸島、ナウル、サモア、モルディブ、セーシェル、バーレーン

欧州

スイス、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン、モナコ、サンマリノ、アンドラ

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