為替条項

為替条項は、通貨安誘導を防止するための取り決めをいいます。これは、貿易の相手国が輸出競争力を高めるために、為替介入などで通貨安誘導を図るのを防ぐもので、特に米国では、ドル高で貿易赤字が大きな問題になる局面で注目されます。

一般に米国が為替条項の導入を主張するのは、ドル高が輸出の障害となり、通商交渉で関税削減を認めさせても効果が薄れると懸念するからです。その一方で、為替条項は、対象国（相手国）の通貨政策や金融政策に干渉する材料となり、金融市場の混乱要因につながる恐れがあります。

＜トランプ政権での為替条項＞

2017年－2021年のトランプ政権では、度々、他国が通貨安誘導をしていると不満を示し、2018年に北米自由貿易協定（NAFTA）の再交渉で妥結した米国・メキシコ・カナダ協定（USMCA）で為替条項を導入し、「為替介入を含む競争的な通貨切り下げを自制する」と明記した。