ソブリン・ウェルス・ファンド
英語: | Sovereign Wealth Funds |
---|---|
分類: | SWF/概念 |
ソブリン・ウェルス・ファンドは、各国の政府が出資する政府系投資機関が運営するファンドをいいます。
別名で「政府系ファンド」や「国富ファンド」とも呼ばれ、豊富な天然資源(石油・ガス等)による収入や貿易黒字等で膨らんだ外貨準備などの国家資産を財源(原資)とし、将来の世代に向けた資金の蓄え、財政赤字が膨らんだ場合の埋め合わせ、対外債務の支払いといった目的で運用されています。
目次:コンテンツ構成
ソブリン・ウェルス・ファンドの運営国と運用
現在、ソブリン・ウェルス・ファンドに積極的な国には、アラブ首長国連邦やサウジアラビア、クウェート、カタール、バーレーン、中国、ロシア、シンガポール、マレーシア、ノルウェーなどがあり、その運用規模は非常に巨大なため、世界のマーケットで大きな影響を及ぼす存在となっています。
◎運用姿勢については、株式や不動産などのリスク資産に積極的に運用するタイプもあれば、債券などの安全資産で安定的に運用するタイプもあり、国によって大きく異なる。
◎実際の運用にあたっては、外部運用機関への委託や自己運用(内部ポートフォリオ運用)、直接投資などの手法が取られている。
ソブリン・ウェルス・ファンドの主な特徴
ソブリン・ウェルス・ファンドの主な特徴として、以下が挙げられます。
・外貨建て資産への分散投資(ポートフォリオ運用)を行う
・基本的に政府部門の外貨建ての余剰資金を原資とし、直接対応する負債が存在しない
・法律等によってファンドが設置され、経常的に流入する資金を運用する義務を負う
・国家予算とは別の勘定になっており、政府が出資する専門機関が実際の運用を行う
・運用実態については、国家機密であることが多く、運用ポートフォリオなどの開示はほとんど行われていない
ソブリン・ウェルス・ファンドの主な分類
ソブリン・ウェルス・ファンドの主な分類として、以下が挙げられます。
伝統的ポートフォリオ投資タイプ
インデックス対比の相対リターンを目標としており、戦略アロケーションで株式の比重が高いことを除くと、欧米の年金など伝統的な機関投資家と類似した投資手法となっている。
長期絶対リターン追求タイプ
絶対リターンを追い求めることを目標としており、伝統的なポートフォリオ投資以外の様々な投資戦略や投資手法にもオープンであり、思い切った戦略的・戦術的な資産配分を行う投資手法となっている。
プライベートエクイティタイプ
流動性の高い有価証券等へのポートフォリオ投資は行わず、多くは経営コントロールの取得等を前提とした企業への直接投資を行う投資手法となっている。この場合、自国の戦略産業の育成や発展と絡める場合も多い。