テーパリング
英語: | Tapering |
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分類: | 金融政策・調節 |
テーパリング(Tapering)は、金融政策において、量的金融緩和の縮小のことをいいます。これは、中央銀行の量的金融緩和による毎月の資産購入の規模を徐々(段階的)に縮小していき、最終的に資産購入額をゼロにしていくことを指します。
◎"tapering"という英語は、細長いロウソク(taper candle)と語源を共有し、ロウソクが徐々に燃え尽きていくように、活動や力などが先細りになっていくことを意味する。
◎テーパリングは、金融以外では、医療用語でも使われ、この場合、患者に投与する薬剤などを少しずつ減らしていくことを意味し、通常、一度に中止すると副作用の危険性がある薬剤などに対して行われる。
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テーパリングの位置づけ
伝統的な短期金利の誘導が効かなくなった量的金融緩和の世界では、テーパリングの開始は「伝統的な短期金利誘導の最終利上げに相当するもの」ですが、それをいかに上手くやるかは中央銀行の手腕にかかっており、時として、市場を大きく混乱させることがあります。
最初にテーパリングを実施したのは米国(FRB)でしたが、同じく大規模な量的金融緩和を実施している日本(日銀)や欧州(ECB)なども同じ問題を抱えています。
テーパリングの実施(米国)
2013年5月にFRB(米連邦準備制度理事会)による「異例の量的金融緩和の縮小」の示唆により、米国債市場をはじめ国際金融市場に大きな波乱を巻き起こしたことで、本用語(テーパリング)はマーケットにおいて注目されるようになりました。
当時、FRBのバーナンキ議長が量的金融緩和(QE)からの出口戦略の端緒としてテーパリングを市場に刷り込もうとしただけで、市場が大混乱を来し、その対応の難しさが浮き彫りとなりました(2013年5-6月にバーナンキ・ショックが発生した)。
その後、FRBは、バーナンキ議長からイエレン議長へと交代し、市場との対話を通じてテーパリングを徐々に織り込み、2014年1月から債券購入プログラムを縮小し、2014年10月のFOMCでプログラム終了を決定しました。
※FRBは、2020年3月にコロナショックで量的金融緩和を再開し、その後、景気回復とインフレ抑制から、2021年11月にテーパリングを開始し、2022年3月に終了。