量的緩和政策
読み方: | りょうてきかんわせいさく |
---|---|
英語: | Quantitative easing policy(QE) |
分類: | 金融政策・調節 |
量的緩和政策は、英語で「Quantitative Easing」と言い、中央銀行がマーケットに供給する資金量を目標として、金融緩和を行うことをいいます。これは、景気や物価の下支え、デフレ回避(脱却)などを目的に、世の中に出回るお金の量を増やすことを目標にする政策手法となっています。
一般に中央銀行は、平常時には、金利を操作して物価や景気の安定を図りますが、一方で長引く景気低迷で、金利をもはや下げられない「ゼロ金利政策」の導入後などに本手法を導入することになります。
目次:コンテンツ構成
量的緩和政策の特色について
量的緩和政策は、非伝統的な金融政策の一つで、中央銀行がマネタリーベースなどの「量」を操作目標として、マーケット(金融市場)に大量に資金を供給する金融緩和政策となっています。
通常、中央銀行は、政策金利を引き下げて金融緩和をしますが、金利水準は0%が下限で、それ以上の金融緩和(金利引下げ)はできなくなります。これに対して、量的緩和政策では、仮に金利が0%に張り付いても、資金量増加を目標とするため、マーケットに潤沢な資金を供給でき、一段の緩和効果を期待できます。
日本の量的緩和政策について
日本においては、デフレスパイラルを防ぐために、1999年2月に「ゼロ金利政策」を導入し、その後、さらなる緩和策として、先進国で最初に量的緩和政策を導入しました。
|量的緩和政策(2001年3月-2006年3月)
2001年3月に金融市場調節の主たる操作目標を、それまでの「無担保コール翌日物金利」から「日銀当座預金残高(資金量)」に変更しました。
具体的には、「日銀当座預金残高が○兆円程度となるように金融市場調節を行う」といった形で、金融市場調節方針(金融の量的な指標に目標値)を定め、それが達成されるように金融緩和が行われました(2006年3月に解除)。
|量的・質的金融緩和(2013年4月-現在)
2013年4月に金融市場調節の操作目標を再び、短期金利からマネタリーベースに変更し、物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続すると決定しました。
政策導入後、約2年でマネタリーベースを倍増させるなど、当初は短期勝負の予定でしたが、現状では、政策導入から9年超が経過し、未だに目標を達成できず、さらなる強化手法を増やしながら継続中です。
欧米の量的緩和政策について
米国においては、サブプライム問題から世界金融危機の震源地となり、2008年11月に量的緩和政策(QE:Quantitative easing)が導入され、2014年10月まで大規模な量的緩和が継続されました。その後、コロナショックにより、2020年3月に量的緩和政策が再開され、2022年3月に終了しました。
この緩和は、世界経済に大きな影響を及ぼし、具体的には、マーケットや新興国に流れ込んだ大量の資金(緩和マネー)が株価や商品価格、不動産などを押し上げただけでなく、新興国のインフレやバブルを招くことになりました。
・QE1:2008年11月-2010年6月
・QE2:2010年11月-2011年6月
・QE3:2012年9月-2014年10月
・QE4:2020年3月-2022年3月
一方で、欧州においては、英国やユーロ圏などで、大規模の量的緩和政策が実施されています(ユーロ圏のQEは、2015年から2018年まで実施。その後、2019年に再開し、2022年7-9月に終了予定)。