政策金利

読み方: せいさくきんり
英語: Policy Interest Rate
分類: 金利

政策金利は、「誘導目標金利」とも呼ばれ、金融市場(マーケット)の金利を実体経済に見合った水準に誘導するために、中央銀行が定める基準金利をいいます。

具体的には、中央銀行が金融市場の調節手段(金融政策の狙い)として用いる短期金利を指し、通常、景気が良い時は利上げによって景気の過熱やインフレを抑制し、逆に景気が悪い時は利下げによって市場金利を低めに誘導し、お金が個人消費や設備投資などに回りやすくします。

ここでは、ニュースなどでよく目にする「政策金利」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

主要国・地域の政策金利

政策金利は、国や地域によって誘導対象となる金利のタイプが異なり、現在、主要国・地域の政策金利は以下のようになっています。

・日本:無担保コール翌日物レート※
・米国:Federal Funds Rate
・ユーロ圏:Main Refinancing Operations Fixed Rate
・英国:Current Bank Rate
・スイス:3month LIBOR Target Rate
・カナダ:Target For The Overnight Rate
・オーストラリア:Cash Rate Target
・ニュージーランド:Official Cast Rate
・中国:1年物貸出基準金利
・香港:Base Rate
・ノルウェー:Deposit Rate
・スウェーデン:Repo rate
・メキシコ:翌日物銀行間レート
・トルコ:1週間物レポ金利
・南アフリカ:SARB Announce Interest Rate

※2013年の「量的・質的金融緩和」の導入以降、無担保コール翌日物レートは、政策金利の誘導対象ではない。

政策金利のマーケットへの影響

中央銀行は、政策金利を効果的に上げ下げすることによって、短期金利から長期金利まで、様々な金利(預金や貸出、債券など)に影響を与えることができます。

■政策金利を上げると市場金利が上がる

・短期金利が上昇する
・長期金利が上昇(債券価格が下落)することが多い
・企業の財務コストの上昇で、株価が下落することがある
・為替レートにも影響を与えることがある(通貨高に)

■政策金利を下げると市場金利が下がる

・短期金利が下落する
・長期金利が下落(債券価格が上昇)することが多い
・企業の財務コストの減少で、株価が上昇することがある
・為替レートにも影響を与えることがある(通貨安に)

日本の政策金利の変遷

日本の政策金利は、時代や経済環境の変化の中で、以下のように変遷しています。

◎1994年9月までは、国の政策によって、民間銀行の金利は「公定歩合」と連動するように規制されていた。

◎1994年10月以降は、金利が完全に自由化され、公定歩合を利用して民間銀行の金利を操作することができなくなった。その代わりに、公開市場操作(オペレーション)により、短期金融市場の金利(無担保コール翌日物レート等)を誘導している。

※1995年3月までは、公定歩合は無担保コール翌日物レートより低い水準に設定されていたため、公定歩合操作は重要な意味を持っていたが、その後は、公定歩合よりも無担保コール翌日物レートの方が低くなった。

◎1999年2月に日銀が「ゼロ金利政策」の導入を決定し、「無担保コール翌日物レート」が誘導目標とされ、政策金利の役割を果たすようになった。

◎2006年8月に日銀が「公定歩合」に関する統計の名称変更を行い、「基準割引率および基準貸付利率」と呼ぶことになった。なお、基準割引率および基準貸付利率は、日銀が無担保コール翌日物レートを誘導する際の上限金利となる。

◎2013年4月に日銀が「量的・質的金融緩和」の導入を決定し、金融市場調節の操作目標が「無担保コール翌日物レート」から「マネタリーベース」に変更された。

◎2016年1月に日銀が「マイナス金利政策」の導入を決定し、日銀当座預金の一部に-0.1%の金利を適用することとした。これにより、「-0.1%」が、事実上の政策金利となっている。

<2008年以降の推移>

・2008年10月:0.50%→0.30%
・2008年12月:0.30%→0.10%
・2013年04月:0.10%→0.00%
・2016年01月:0.00%→-0.10%

米国の政策金利の推移

米国の政策金利である「フェデラル・ファンドレート(Federal Funds Rate)」は、世界中で注目されており、サブプライム問題が起こった2007年以降、以下のように推移しています。

・2007年09月:5.25%→4.75%
・2007年10月:4.75%→4.50%
・2007年12月:4.50%→4.25%
・2008年01月:4.25%→3.50%→3.00%
・2008年03月:3.00%→2.25%
・2008年04月:2.25%→2.00%
・2008年10月:2.00%→1.50%→1.00%
・2008年12月:1.00%→0.25%
・2015年12月:0.25%→0.50%
・2016年12月:0.50%→0.75%
・2017年03月:0.75%→1.00%
・2017年06月:1.00%→1.25%
・2017年12月:1.25%→1.50%
・2018年03月:1.50%→1.75%
・2018年06月:1.75%→2.00%
・2018年09月:2.00%→2.25%
・2018年12月:2.25%→2.50%
・2019年07月:2.50%→2.25%
・2019年09月:2.25%→2.00%
・2019年10月:2.00%→1.75%
・2020年03月:1.75%→0.25%
・2022年03月:0.25%→0.50%
・2022年05月:0.50%→1.00%
・2022年06月:1.00%→1.75%

iFinancial TV