グリーン・スワン

英語名: Green Swan
分類: 概念

グリーン・スワン(Green Swan)は、日本語で「緑の白鳥」とも訳され、気候変動が引き金となる、新たなグローバル金融危機のリスクをいいます。これは、滅多に起きないものの、起きたらマーケットに甚大な悪影響を及ぼす「ブラック・スワン(黒い白鳥)」の気候変動リスク版と捉えられます。

ここでは、昨今、地球的規模で環境問題が深刻化する中、新たなリスクとして「グリーン・スワン」を簡単にまとめてみました。

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グリーン・スワンの概念

グリーン・スワン(Green Swan)は、2020年1月に国際決済銀行(BIS)とフランス銀行(Banque De France)が共同作業でまとめ、公表した論文「グリーン・スワン:気候変動の時代における中央銀行の役割と金融の安定(The green swan:Central banking and financial stability in the age of climate change)」で言及されたものです。

本論文では、将来、地球の気候変動をきっかけとした「システミックな金融危機」が発生し、中央銀行や金融監督当局にも打つ手がないと警告しています。

◎地球が直面する気候変動リスクにおいて、二酸化炭素などの温室効果による気温の上昇が、世界経済や金融システムにも大きな影響を及ぼす恐れがある。

◎石炭や石油、天然ガスなど、市場環境や社会環境が激変することにより、価値が大きく毀損する「座礁資産」がかなり多い状況下で、低炭素経済への急激な変化が起きると、投資家による投げ売りが発生し、これが結果的に金融危機を招く恐れがある。

◎このような状況が起った場合、信用リスク市場リスクの影響でバランスシートが損なわれた金融機関において、短期のリファイナンスが不可能になり、インターバンクの貸出市場で緊張が高まる恐れがある。

グリーン・スワンの特徴

グリーン・スワンは、ブラック・スワンと同様、(1)滅多に起きない(予測できず、突然起こる)、(2)起きたら影響が非常に大きい、(3)起きてから初めて認識される、という点では共通していますが、一方で以下のような点で異なっています。

◎将来、気候変動リスクが現実のものとなることに一定の確実性がある(原因が二酸化炭素等の温室効果ガスの累積であることが明確である)。

◎気候変動リスクは、極端に悪化した場合、人類に大きな危険を突き付けると共に、通常の金融危機より深刻な問題となる恐れがある(一段と複雑で予測不可能な連鎖反応を招来しかねない)。

◎気候変動リスクは、ブラック・スワンが想定する金融リスクと異なり、リスクの測定の困難さがある。また、現状、気候変動の不可逆的な影響を食い止めるための金融政策がほとんどない。

◎気候変動リスクの対策は、地球規模での各国政府内での一元化された取り組みが不可欠であり、中央銀行による対応には自ずと限界がある(当事者間で責任の所在があいまいである)。

<中央銀行の対応>

・適切なストレステストを通じて、気候に関係するリスクの監視を実施する
・気候に関係するリスク評価を強化するための新しいリスク管理手法を開発する
・ESG基準を導入するなど、持続可能な金融という価値観や理念を支持し、長期的利益を重視する投資の推進を後押しする