額面
読み方: | がくめん |
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英語: | Face value, Par |
分類: | 価格 |
額面は、国語辞書では、有価証券や貨幣などの券面、書画の掛け額やその表面、外から見えるかたちといった意味があります。これは、金融取引で使われる意味と日常社会で使われる意味とでは全く異なっており、また国語辞書の意味とも異なっているのでご注意ください。
ここでは、何気に使われることがある「額面(がくめん)」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
額面:金融取引での意味
額面は、金融取引においては、債券や手形・小切手などの有価証券に記載された金額をいいます。また、株式については、一昔前は額面という概念がありましたが、2001年10月の商法改正により、額面という概念がなくなり、「無額面株式」に統一されました。
債券の額面
額面は、債券の場合、債券価格の基準となる価格をいい、また額面と額面金額は「額面金額=額面×申込単位」という関係になっています。通常、日本の債券では、額面を100円として発行し、満期日(償還期日)を迎えると額面金額が戻ってきます。
一般に新発債の場合は、額面(100円)と購入時の発行価格は一緒ですが、既発債の場合は、流通市場で市場金利を反映して売買されているため、債券価格は常に変動し、必ずしも額面(100円)とは一致しません。これに関しては、額面を下回ることを「アンダーパー」、額面を上回ることを「オーバーパー」と言います。
手形・小切手の額面
額面は、手形の場合、手形額面のことをいい、約束手形や為替手形の金額欄に記載された金額を指します。また、小切手の場合、小切手額面のことをいい、小切手の金額欄に記載された金額を指します。
一般に額面をアラビア数字で記入する場合は、チェックライターを使用し、また手書きで記入する場合は、漢数字を用い、金額の前後に「金」と「也」を入れます。なお、手形については、額面(記載された金額)に応じた収入印紙を貼る必要があります。
額面:日常社会での意味
額面は、日常社会においては、「給与明細の額面」と「比喩的な額面」の二つの意味で使われることが多いです。
給与明細の額面
額面は、毎月の給与明細では、勤務先から自分に対して支払われる金額の合計を指し、通常、基本給と各種手当(通勤手当・時間外手当・役職手当等)で構成されており、「総支給金額」の欄に記載されています。また、額面から所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた金額で、実際に受け取れるお金を「手取り」と言います。
一般に額面と手取りは大きく異なり、日々の生活は手取りの金額内が基本となります。また、同じ年収でも、扶養家族がいるかどうかで手取りが異なるほか、住宅ローンを組んでマイホームを取得している方は、所定の期間、 住宅ローン控除(減税)を受けられて、納めた税金の一部が戻ってくるので、その分、手取りが増えます。
※額面は、給与所得の源泉徴収票では「支払金額」を指す。
比喩的な額面
額面は、比喩的には、外から見えるかたち(内実とは違う見せかけ)のことをいい、日常において、多方面でよく使われています。
<本用語の使用例>
・首相の発言を額面どおりに受け止めるのは早計だろう
・この言葉を額面通り受け取っていいかどうかは知る由もない
・政府はウイルスの侵入防止策の成果を強調するが、額面通りに受け取ることはできない