ジャンク債
読み方: | じゃんくさい |
---|---|
英語: | Junk bond |
分類: | 債券通称 |
ジャンク債(ジャンクボンド)は、「ハイイールド債」や「投機的格付債」とも呼ばれ、格付けが低く、投資適格に満たない一方で、利回りが高い債券をいいます。通常、S&Pの格付けで「BB」、Moody'sの格付けで「Ba」、もしくはそれ以下の低格付けの債券を指し、ハイリスク・ハイリターンの投資対象となっています(他の格付会社も同様)。
目次:コンテンツ構成
ジャンク債の発行と市場について
ジャンク債の市場は、米国で発展し、1980年頃までは投資適格から格下げされた債券で占められていましたが、1980年代に入ってから低格付の企業が発行するようになりました。
当初は、主にM&Aなどの資金調達に用いられましたが、1990年代に入ると設備投資などの起債が増え始め、2000年代には幅広いニーズに対応したグローバルな市場へと発展し、昨今では、米国のほかに、欧州やアジア、中南米などの市場でも発行されています。
日本では、1996年以降、適債基準が撤廃されたことで、格付けの低い中南米や東欧、アジアなどの円建て外債の起債が行われていますが、最初から投機的格付債として発行された例はありません。また、社債などでも、最初から投機的格付債として発行された例はありません。一方で、いずれも発行後に投資不適格債となった例はあります。
※ジャンク(Junk)とは、「がらくた」や「紙くず」という意味。
ジャンク債の特色について
ジャンク債は、低格付けのデフォルトリスク(元本償還や利払いの不能リスク)の高い債券です。マーケットにおいては、投資適格債と比べてデフォルトリスクが高い分、リスクプレミアム(利回り)も高い一方、その価格は、デフォルト率などを考慮した理論価格よりも安くなる傾向があります。
◎ジャンク債の対国債でのスプレッドは、景気拡大期に縮小し、景気後退期に拡大することから、ジャンク債の債券価格は、景気拡大局面で上昇し、景気後退局面で下落する傾向がある。
◎ジャンク債のスプレッド変化幅は、低格付のものほど大きくなる一方で、ジャンク債の上位格付のものは、投資適格債に近い値動きをする傾向がある。
◎ジャンク債は、景気動向によってスプレッドが大きく変わり、国債などとは相関性が低いことから、運用面において、一つの資産クラスとしてリスク分散の観点から重要な役割を果たす。
◎ジャンク債は、信用が収縮した局面で流動性が低下し(市場で買い手が減少し)、時として発行体のファンダメンタルズから乖離して価格が下落することがある。
◎ジャンク債の市場では、ジャンク債として発行された債券と、投資適格から格下げされた債券(フォーリン・エンジェル)が流通している。
ジャンク債の投資について
ジャンク債は、投資適格債と比べて、利回りが高い反面、デフォルトリスクが高いことから、その投資はハイリスク・ハイリターンとなっています。また、実際の投資にあたっては、損失率とスプレッド(利回り)の相対的な水準を見極めることが重要で、市場環境の変化によって投資妙味が高まることもあれば、損失率が高まることもあります。
このような特色に着目して、複数の銘柄をパッケージにして運用すれば、リスクも分散されて高いリターンが得られるという発想の投資戦略も採用されています。この場合、いくつかの銘柄はデフォルトされることも計算し、その上でリスクに見合ったリターンが十分に得られると判断されるポートフォリオを組んで、高いパフォーマンスを狙っていくことになります。