資産担保証券
読み方: | しさんたんぽしょうけん |
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英語: | Asset Backed Security |
分類: | 証券化商品 |
資産担保証券は、「アセットバック証券」や「ABS」とも呼ばれ、広義には、各種資産の信用力やキャッシュフローを裏付け(担保)として発行される有価証券の総称をいいます。
一方で、狭義には、市場規模の大きい「モーゲージ証券(MBS)」や「債務担保証券(CDO)」を除いた、自動車ローンやクレジットカード債権、リース債権などを担保として発行されるものを指します。
一般に資産担保証券は、通常の債券とは異なり、有価証券の発行体自身の信用力ではなく、その担保となる資産から発生するキャッシュフローの確実性を重視するところに大きな特徴があります。
目次:コンテンツ構成
資産担保証券の開発と普及
資産担保証券は、1970年代に米国で開発された「モーゲージ証券」が始まりです。
主に貸付債権等の流動化やオフバランス化を目的とし、基本的にキャッシュフローを生み出すものなら何でも担保にすることが可能になっており、具体的には、ローン債権や売掛債権、クレジットカード債権、リース債権など様々な債権や不動産等の資産を裏付けにして発行されます。
一方で、日本では、信用リスクの分散化や移転を通じた企業金融の円滑化を図ることを期待して、1998年に証券取引法(現・金融商品取引法)の有価証券として認められ、以降、企業は所有する債権や不動産等の資産の信用力やキャッシュフローを裏付けにして資金調達が可能になりました。
資産担保証券の仕組み
資産担保証券は、企業が保有する特定の資産を証券化商品の発行体として設立された「特別目的会社(SPC)」に売却する一方、SPCがその資産を裏付けにして有価証券を発行し、投資家に販売して資金を調達するという仕組みになっています。
この場合、発行される有価証券(社債・CP等)については、その資産から得られるキャッシュフローが償還の財源となるため、裏付け(担保)となる資産が優良であれば、企業の信用力とは関係なく、低コストの資金調達が可能になります。
また、その仕組みから、企業は資産の流動化(オフバランス化)が可能になる一方、投資家は企業の信用力とは無関係に、対象資産の信用力に対して投資することが可能になります。