ローン担保証券(CLO)
読み方: | ろーんたんぽしょうけん |
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英語: | Collateralized Loan Obligation(CLO) |
分類: | 証券化商品 |
CLOは、"Collateralized Loan Obligation"の略で、日本語では「ローン担保証券」のことをいいます。
貸付債権(ローン債権)の元利金を裏付け(担保)にして発行される有価証券(債券)で、通常、金融機関においては、資産を流動化したり、圧縮したりする目的で、ローン債権を売却することで発行されます。
ここでは、証券化商品の一つである「ローン担保証券(CLO)」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
ローン担保証券(CLO)の位置づけ
ローン担保証券(CLO)は、資産担保証券(ABS)の一種である「債務担保証券(CDO)」に属する証券化商品です。
ABS > CDO > CLO
また、CDOとは、ローンや公社債などの債務を束ねて、これを裏付けとして発行される証券で、ローンのみで構成される場合は「CLO」、債券または債券類似商品で構成される場合は「CBO」と呼ばれ、通常、CDOは、「CBO」あるいは「CLO」のいずれか、またはその双方を包含する商品を指します。
CDO > CLO(Loan)|CBO(Bond)
ローン担保証券(CLO)の仕組み
ローン担保証券(CLO)は、金融機関が事業会社等に対して貸し出している債権(ローン債権)を投資銀行や証券会社などの買い手(組成者)に売却し、その後、組成者が複数のローン債権を束ねたものを証券化し、投資家に販売するという仕組みになっています。
(1)金融機関が事業会社等(低格付け企業等)に融資する。
(2)金融機関がローン債権を投資銀行や証券会社などに売却し、その際に「特別目的事業体(SPV)」に譲渡する形態をとる。
(3)投資銀行や証券会社などの証券化商品の組成者は、複数のローンを束ねてCLOを組成し、SPVがCLO(債券)を発行するというスキームにする。また、その際に、シニア債、メザニン債、ジュニア債といった支払優先順位の異なる数種類の債券が組成される。
(4)組成されたCLOが投資家に販売され、その後は、満期まで持つ以外は、CLO市場で売買される。
※SPV:「Special Purpose Vehicle」の略で、証券化などを目的に、特別に設立したSPCや組合、信託などの総称。
ローン担保証券(CLO)の特色
ローン担保証券(CLO)は、証券化商品の一つで、以下のような特色があります。
◎CLOの当事者では、資金の借り手側は、ローンという形態であるが、証券化が行われているため、市場を通した資金調達となっている。一方で、資金の貸し手側は、ローンを売却することで、資金をすぐに回収できる。また、CLOの組成者は、多様な商品を開発・販売することで儲けることができる。
◎CLOの商品面では、元利金は支払優先順位の高い順に支払われ、債券の種類(階層)毎に異なった格付けが付与される。このような仕組みから、CLOは、リスク・リターンの選好が異なる様々な投資家に対して、ニーズに合った投資機会を提供することができる。なお、リーマンショックの教訓から、何度も束ね直して、リスクの所在が全く分からないような商品は作られなくなった。
◎CLOは、相対型のCLO市場で売買されることによって、利回り(価格)が形成される。具体的には、CLO市場で利回りが低下すれば価格が上昇し、一方でCLO市場で利回りが上昇すれば価格が下落する。なお、企業の利払いが投資収益の源であるが、市場で価格が形成されるため、CLOの投資家(保有者)には評価損益が常に発生する。
◎景気悪化等で資金調達企業の財務が悪化すると格付けが低下し、
それに伴い、CLO市場の環境も悪化し、CLOの利回りが上昇する(価格が下落する)。この場合、投資家は評価損から慎重姿勢を強めるため、CLO市場が縮小し、低格付け企業の資金調達が困難になる。
CLO市場の概要(米国が中心)
CLO市場は、主に米国が中心となっており、リーマンショック以降、長引く低金利の中で、市場規模が大きく成長しています。
◎CLOの投資家は多様であるが、高リスクのものは、ヘッジファンドなどの運用会社が買い、中リスクのものは、保険や年金などの機関投資家が買うことが多い。また、格付けが一番高い低リスクのものは、銀行などが買うことが多い。
◎米国において、CLOを通して資金調達する企業は、中小企業よりは規模が大きい、低格付けの企業が多い。リーマンショック以降、世界的に超低金利が続く中、運用利回りが相対的に高いCLO市場に世界の投資家が参加したことで、低格付け企業の債務が膨張することになった。一方で、信用収縮が起こった場合、金融システムに大きな影響が及ぶ可能性がある。