住宅ローン担保証券(RMBS)
読み方: | じゅうたくろーんたんぽしょうけん |
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英語: | Residential Mortgage-Backed Securities |
分類: | 証券化商品 |
RMBSは、"Residential Mortgage-Backed Securities"の略で、日本語では「住宅ローン担保証券」のことをいいます。
住宅ローンからの元利金を裏付け(担保)に発行される証券で、モーゲージ証券(MBS)の一種であり、またMBSとは、不動産担保融資の債権を裏付け(担保)として発行される証券の総称で、運用面において、高い流動性や高い信用力、高い利回りなどが魅力となっています。
ここでは、住宅ローン担保証券(RMBS)の概要について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
住宅ローン担保証券(RMBS)の仕組み
住宅ローン担保証券(RMBS)は、基本的には、住宅ローンを束ねて、モーゲージプールを組成し、このモーゲージプールを裏付けに発行されます。
(1)金融機関は、住宅購入者に対して、不動産を担保に住宅ローンを貸し出す。
(2)金融機関は、金利や償還期限など、同様の性質を有する住宅ローンを束ねて、「モーゲージプール」を組成する。
(3)モーゲージプールを裏付けにRMBSを発行し、またRMBSによっては、政府または政府関連機関の元利金保証を付ける。
住宅ローン担保証券(RMBS)の主な特徴
住宅ローン担保証券(RMBS)は、住宅ローン債権を担保として発行される証券(債券)で、主な特徴として以下が挙げられます。
◎RMBSの多くは、住宅ローンの債務者から支払われる元利金が手数料等を除き、そのままRMBSの元利支払いとなる「パス・スルー(Pass Through)」と呼ばれる形態をとっている(その他には、CMOやIO、POなどの形態もあり)。
◎パス・スルー型のRMBSのキャッシュフローは、その構造上、毎月一定額の返済が行われるため、一般的な固定利付債に投資する場合のキャッシュフローとは異なる。また、住宅ローンの債務者は繰上返済の権利を有しているため、投資面では期限前償還リスク(プリペイメント・リスク)がある。
◎RMBSは、通常の債券投資に比べて、市場リスクや信用リスクに加え、期限前償還リスクなどを内包するため、高い利回りとなる。また、保証付きのRMBSは、高い信用力と高い流動性があるのに対して、保証のないRMBSは、流動性が劣るものの、利回りがより高く、商品設計も多様である。
米国と日本のRMBSの現状
住宅ローン担保証券(RMBS)は、元々は、米国において、個人の住宅取得を政策的に支援するために開発されたものですが、今日では、先進国を中心に広く発行されています。
|米国のRMBS
RMBSは、米国においては、住宅ローンから生じるキャッシュフローが、ファニーメイやフレディマックなど政府または政府関連機関の信用力と証券化という仕組みを用いることにより新しい投資商品へと変換され、投資家に受け入れられる投資対象になって以降、米国の債券市場において主要なセクターとなっています。
米国の住宅ローンバブルの終焉により起こった、2007年-2009年のサブプライムローン問題によって、RMBSは世界的に大きなダメージを与え、多くの投資家が多額の損失を被りましたが、今日でも、政府または政府関連機関が元利を保証する「エージェンシーRMBS」は、市場において安定した供給が継続されています(保証のないノンエージェンシーRMBSは激減)。
|日本のRMBS
RMBSは、日本においては、1999年以降、銀行や生命保険、ノンバンク、住宅金融公庫(現:住宅金融支援機構)などが、RMBSの発行量を増やしたことにより市場が拡大しました。
今日では、長期固定金利住宅ローンの「フラット35」として、民間金融機関等が貸し出した住宅ローン債権を住宅金融支援機構が買い取って証券化し、機関投資家向けに発行している「貸付債権担保住宅金融支援機構債券」が最も有名で、また住宅金融支援機構が最大の発行体となっています。