ブラジル通貨危機
読み方: | ぶらじるつうかきき |
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英語: | Brazilian Crisis of 1998-1999 |
分類: | 金融危機 |
ブラジル通貨危機は、1998-1999年に発生した、ブラジル連邦共和国の通貨(レアル)の暴落のことをいいます。
1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア危機によって、ブラジルの資本・金融市場も大きな影響を受け、経常赤字と財政赤字が拡大していたブラジルから外国資本(海外資金)の急激な流出が発生したことが危機の背景としてありました。
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ブラジル通貨危機の対応
当時、ブラジルの金融当局は、金利の引上げや財政の緊縮策などの対策を行なっていましたが、他の新興国の通貨危機と同様、自国通貨の大幅な下落に対して為替レートを目標相場圏の範囲内に維持する固定相場制に限界が生じ、短期間に追い込まれて変動相場制に移行することになりました。
ブラジル通貨危機の支援と経過
1998年11月にIMFと米国は、通貨危機への対策として、総額415億ドルに上るブラジル支援パッケージを決定しました。
しかしながら、1999年1月6日にミナスジョライス州知事が90日間の対連邦債務の返済停止を通告したことを機に、海外投資家が一斉に資金を海外に逃避させ始めました。
この状況に対して、ブラジル政府はレアルを相次いで切下げましたが、それも限界に達し、1月15日にレアルの変動相場制への移行を正式に発表しました(その後も下落が続いて、3月には1ドル=2.15レアルまで下げた)。
ブラジル通貨危機のその後
ブラジル通貨危機では、為替レートの切り下げや資金流出などで経済は一時的に大きく混乱し、深刻な景気後退やインフレの再燃、近隣諸国への通貨危機の伝播などが危惧される事態となりましたが、一方でブラジルのファンダメンタルズがアジア諸国ほど脆弱ではなかったため、その影響は比較的軽微で済み、短期間に順調な回復をすることになりました。