株主代表訴訟

読み方: かぶぬしだいひょうそしょう
分類: 株主

株主代表訴訟は、会社法では「株式会社における責任追及等の訴え」と言い、取締役などの役員等が会社に対して負っている法的責任に対し、馴れ合いなどにより会社がその責任を追及しない場合に、株主が会社に代わって、その役員等を提訴できる制度をいいます。

一般に株主代表訴訟が提起される原因には様々なものがあり、例えば、不祥事が発覚したり、犯罪行為が行われていたり、また経営がずさんだったり、社長がワンマンだったりする場合などが挙げられます。

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株主代表訴訟の手続き

株主代表訴訟の手続きは、まず会社に対して、役員等への賠償請求の訴えを起こすよう請求します。

その際の会社の代表として、株主の請求に対応するのが監査役(監査役設置会社の場合)で、60日以内に監査役が役員等の責任を追及しなければ、株主自身が提訴できるようになります(訴訟が可能な期間は、会社が被害を受けてから10年間)。

株主代表訴訟の増加と対応

1993年の商法改正により、訴訟費用が一律8,200円となって以来、一般の株主でも比較的容易に訴えを提起できるようになり、昨今では、訴訟の件数が増加しています(現在は、会社法に規定)。

一方で、企業側では、万一の訴訟に備えることも必要ですが、最も基本となるのは「盤石なコンプライアンス(法令順守)体制」を確立することです。また、巨額の賠償を求められるリスクがゼロではないため、大手企業等では取締役の多くが株主代表訴訟対策の保険に加入しています。

株主代表訴訟の代表的事例

過去(2000年以降)の株主代表訴訟の代表的事例として、以下が挙げられます。

◎オリンパスの粉飾決算事件をめぐる旧経営陣への損害賠償請求で、2020年に旧経営陣3人に594億円の賠償命令が確定した。

◎ライブドア事件の株主代表訴訟では、2012年に原告49人の請求を認める「認諾」という結果で終結し、合計2億7500万円が支払われた。

◎2008年に判決が確定した蛇の目ミシン工業の裁判で、仕手集団に多額の利益供与をした旧経営陣5人に対して、東京高裁は約583億円の賠償を命じた。

◎旧大和銀行の巨額損失事件の訴訟では、2000年に大阪地裁が取締役らに約830億円という巨額の賠償を命じた(その後、高裁で2億5千万円で和解)。

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