WTI

読み方: だぶりゅーてぃーあい
英語: West Texas Intermediate
分類: 原油

WTIは、「West Texas Intermediate」の略で、アメリカ合衆国のテキサス州西部とニューメキシコ州南東部で産出する、低硫黄の軽質原油(軽質スイート原油)をいいます。これは、含有硫黄分が少なく、高品質な原油で、またガソリン灯油などを多く取り出せるのが特徴となっています。

ここでは、世界の原油市場に大きな影響を及ぼす「WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

WTIの原油先物市場

WTIの原油先物は、CMEグループNYMEXで「Light Sweet Crude Oil」として取引されています(1983年5月に上場)。

現在、取引単位は1000バレルで、取引時間はニューヨーク時間の10:00~14:30ですが、電子取引(24時間取引)が導入されているため、実際には、時間外取引も活発に行なわれています。

WTIの原油先物の特色

◎WTIの原油先物は、大手石油会社や精製会社、卸売会社だけでなく、投資ファンドなど石油業界と関係ない投資家も広く取引に参加している。そのため、市場参加者が多様で、売買が成立しやすい点で人気を集め、世界で圧倒的な取引規模の市場となっている。

◎現物の引渡しを受けることも可能で、取引参加者はNYMEXへ通知することにより、手持ちの先物を現物に交換することができる。受渡場所は、オクラホマ州のクッシング(Cushing)にある売り手側の施設で、他の原油をWTIと同質となるようにブレンドしたもので受渡しが行われる(WTIは取引量に比べて産出量が少ないため)。

原油の単位である「バレル」

バレル(barrel)は、英語の「たる」を意味する。かつて、石油をシェリー酒の空たるに入れて運んだことから、原油や石油製品の国際単位となった。1バレルは約159リットル。

WTIの概要

WTIのマーケットでの位置付け

世界の原油取引は、消費地ごとに、北米、欧州、アジアといった三大市場が形成されており、それぞれの地域の需給を反映した独自の価格形成がなされています。

その中で、WTI原油は北米の原油価格の指標になっていると共に、取引高が大きく流動性が高いことや、市場参加者が実需や投機を含めて多岐にわたっていることなどから、国際的な原油価格の指標(マーカー原油)として、世界中で常に注目されています。

価格指標の側面

◎北米市場では、域内で流通している大半の原油は、WTIの原油先物価格に連動して価格が決定される。そのため、NYMEXで形成されたWTIの原油先物価格が、北米における原油や石油製品などの現物の価格指標となっている。

◎WTIの価格は、基本的には、米国国内の原油需給動向を反映したものであるが、一方で国際的な原油価格の指標であることから、世界の原油需給動向や国際情勢(OPEC・非OPEC諸国の動向、地政学リスク、世界景気など)を反映して動くことも多い。

経済指標の側面

◎WTIの1日当たり原油産出量は数十万バレルに過ぎないが、WTIの原油先物における1日当たり取引量は1億バレルを超え、世界の原油市場の中で、その取引量と市場参加者が圧倒的に多い。そのため、市場の流動性や透明性が非常に高く、単に世界的な原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動きを占う重要な経済指標にもなっている。

◎昨今では、世界全体での投資資金の動向にも影響を受け、WTIの価格は、株式市場との相関性が強まっている。例えば、原油価格の極端な下落は、株式市場に悪影響を与えることもある。

WTIの日本での取引(個人の場合)

WTI(原油先物)は、コモディティ(商品)の一つで、株式や債券、通貨などとは異なる値動きをするので、個人の資産運用において、オルタナティブ投資の一つとして活用できます。

現在、日本においては、WTI原油先物価格に連動する「ETF(上場投資信託)」や投資信託の「WTI原油先物ファンド(ロング、ショート)」、WTIを原資産とする「CFD取引(原油CFD)」などで取引を行うことができます。ちなみに、この中で、最もリアルタイムにWTIの値動きと連動して取引できるのは「原油CFD」です。

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