質権
読み方: | しちけん |
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分類: | 担保・保証 |
質権は、債権者が、その債権の担保として、債務者または第三者(物上保証人)から受け取った物(質物)を債務の弁済があるまで留置し、また弁済がない場合には、その質物について他の債権者を差し置いて優先弁済を受けることができる「約定担保物件」をいいます。
※約定担保物権:当事者の契約によって生ずる担保物権で、日本の民法においては、質権と抵当権の二つがある。
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質権の特色について
質権は、優先弁済のほかに、附従性や随伴性、不可分性、物上代位性を有する点では抵当権と同様ですが、債権者が担保物の占有を取得し、債務者に心理的圧迫を行って弁済を促すという点で、単に目的物の交換価値のみを支配する抵当権とは大きな差異があります。
また、質物の対象については、譲渡性があれば、動産、不動産、財産権のいずれでもよく、その種類については、動産質、不動産質、権利質(財産権等)に分類されます。
質権の利用について
現在、留置的効力の問題から、生産用具たる動産質や不動産質はほとんど利用されていませんが、一方で日常用具を目的物とする動産質が庶民金融の領域で、また権利質が企業信用の領域で広く利用されています。
例えば、金融機関では、借り主または第三者(担保提供者)から受けた担保物件(預金、有価証券、保険証券・・・)を融資金が返済されるまで保管し、弁済されない場合は、その担保物から他に優先して弁済を受けることがあります。
なお、質物の換価方法は、原則として競売となっており、流質は禁止されていますが、一方で質屋営業法では流質契約が認められており、また質権者は質物をさらに質入することもできます。
質権の規定について
質権は、日本の民法では、以下のように記されています。
|民法第342条(質権の内容)|
質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
|民法第343条(質権の目的)|
質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
|民法第344条(質権の設定)|
質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。