利上げ
読み方: | りあげ |
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分類: | 金融政策・調節 |
利上げは、中央銀行が政策金利を引き上げることをいいます。これは、日本では、日本銀行が「無担保コールレート(オーバーナイト物)」を、米国では、FRBが「Federal Funds Rate」を、ユーロ圏では、ECBが「Main Refinancing Operations Fixed Rate」を、また中国では、中国人民銀行が「1年物貸出基準金利」を引き上げることを指します。
ここでは、身近な金融用語の一つである「利上げ」について、簡単にまとめてみました。
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利上げの実施
中央銀行は、国内の経済情勢において、インフレ懸念が強まったり、景気が過熱したりした場合などに、金利水準を引き上げる金融政策を取ります。通常、金融政策の判断については、利上げは慎重に行われる一方で、利下げは大胆に行われる傾向があります。
一般に利上げを行うと、市場金利が上昇し、企業の設備投資が抑制され、個人の消費意欲も衰えるため、景気にブレーキがかかる一方で、過度に金利が上がれば、景気が急速に冷え込む恐れもあります。このように予期せぬ事態(副作用)も起こりうることから、金融政策において、金利の変更幅や変更時期は、適切に見極めて実施されることが重要になります。
利上げの市場への影響
利上げは、市場(マーケット)に大きな影響を及ぼし、特に米国の利上げは、世界的にも影響が大きく、世界中の市場関係者が注目しています。
外国為替市場への影響
近い将来、利上げが行われそうな(期待される)国の通貨が買われる傾向がある。特に米国の利上げは、他国との金利差にもよるが、ドル高につながることが多い。
債券市場への影響
利上げによる金利上昇は、債券価格の下落につながるが、影響を受けるのは主に短期の債券である。通常、長期の債券は、フォワードルッキングな性質があるため、利上げ見通しがある場合、先に織り込まれることが多い。
株式市場への影響
利上げによる金利上昇は、資金調達コストの増大につながり、企業収益にはマイナスとなり、株式市場にとってマイナスである。ただし、個別銘柄については、財務内容や業況などにより、影響度合いは異なる。
日本の利上げ
2000年以降の日本の利上げ(日銀による政策金利の引上げ)は、下記の3回のみとなっており、結果を見れば、いずれも失敗に終わりました。また、2008年10月の利下げ以降、何度か利下げが行われ、日本では、十数年、利上げは一切行われていません。
◎2000年8月にゼロ金利政策を解除し、利上げを行い、政策金利(無担保コール翌日物)を0.0%から0.25%に引上げた。その後、ITバブル崩壊による景気悪化で、2001年2月に利下げを行った(0.15%へ引下げ)。
◎2006年3月に量的緩和政策を解除した後、2006年7月にゼロ金利政策を解除し、利上げを行い、政策金利(無担保コール翌日物)を0.0%から0.25%に引上げた。
◎2007年2月に利上げを行い、政策金利(無担保コール翌日物)を0.25%から0.50%に引上げた。その後、サブプライム問題の影響による世界的な景気悪化で、2008年10月に利下げを行った(0.30%へ引下げ)。