指し値オペ

読み方: さしねおぺ
分類: 金融政策・調節

指し値オペは、日本銀行が予め決まった価格(利回り)で、金融機関から国債を無制限に買い入れるオペレーション(オペ)をいいます。

2016年9月21日に実施した金融政策決定会合(異次元緩和の総括検証)において、短期金利と共に長期金利を操作する新たな金融政策の手段として導入されたもので、長期金利を「0%程度」に誘導することを目標に実施されます。

従来、日銀は、市場で決まる長期金利はコントロールできないという見解を示していましたが、本会合では、オペの目標を購入する国債などの額(量)から金利に変更すると共に、長期金利に対する見解も変更しました。

※オペレーション:中央銀行が市場に出回るお金の量を調整する公開市場操作のこと。

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指し値オペのリスク

通常、マーケット(長期金融市場)で決まる長期金利は、中央銀行がコントロールするのは難しいとされるのに対して、指し値オペは、長期金利を目標水準に強引に導く(抑えつける)ため「劇薬(奥の手)」と言われます。

一方で、オペは、中央銀行による市場との対話であり、長期金利の上昇圧力が頻繁に起こった場合、奥の手である指し値オペを乱発し、国債購入量が膨らむ可能性があるほか、市場実勢より高い買入価格でオペを実施する可能性もあります。

さらに、目論見通りに長期金利を抑えつけることに失敗した(本オペが市場に負けた)場合は、市場から信任が失われる大きなリスクもあります。

指し値オペの最初の実施

2016年の米大統領選後、米国を起点とした主要国の長期金利の急上昇により、日本の国債利回りにも上昇圧力が働き、マイナス圏にあった長期金利がプラス圏に浮上しました。そのまま上昇し続けるのを放置すれば、日銀の信任が失われるため、2016年11月17日に初めて「指し値オペ」が実施されました。

実際のオペについては、市場で売った方が有利であったため、金融機関からの応札はありませんでしたが、金利上昇にひとまずブレーキがかかり、口先介入としては成功しました。

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