短期プライムレート(短プラ)
読み方: | たんきぷらいむれーと(たんぷら) |
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英語: | Short-term prime rate |
分類: | 金利 |
短期プライムレート(短プラ)は、銀行等の金融機関が優良企業向けに対して、短期(1年以内の期間)で貸し出す時に適用する、最優遇貸出金利(プライムレート)をいいます。これは、各金融機関が独自に定める金利で、全国的には都市銀行のレートが一つの基準となり、また各都道府県では有力地銀のレートが一つの基準となりますが、長年、ほぼ横並びとなっています。
ここでは、ローン金利の基準となる「短期プライムレート」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
短期プライムレートとは何か?
短期プライムレートは、プライムレートの一つで、業績が良い、財務状況が良いなど、融資する上で全く問題がないと判断される優良企業向けに対して、銀行等の金融機関が短期(1年以内の期間)で貸し出す際に適用する最優遇貸出金利をいいます。
一方で、短期プライムレートに対して、金融機関が優良企業向けに対して、長期(1年以上の期間)で貸し出す際に適用する最優遇貸出金利を「長期プライムレート」と言います。
かつて(昔)は、各銀行が公定歩合に連動した金利をもとに信用リスクの大きさに応じて上乗せ金利を付加する金利決定方式でしたが、1989年以降は、公定歩合ではなく、市中金利に連動する総合的な調達コスト等をベースとした金利決定方式となりました。
そのため、変更後しばらくは、本レートのことを、昔の短期プライムレートと区別して「新短期プライムレート(新短プラ)」と呼ぶこともありました。
短期プライムレートの仕組み
短期プライムレートは、銀行等の資金調達の場である短期金融市場(インターバンク市場)からの資金調達コストに、銀行等の各種コストや利鞘などを上乗せして決定されます。
一般に短期金融市場の金利は、以下のように、日本銀行が決定する政策金利の動向に影響されるため、短期プライムレートは、政策金利が動くと変更になることが多いです。
1.日銀が政策金利(無担保コール翌日物レートの誘導目標)を決定する。
2.短期金融市場の指標金利である無担保コール翌日物レートが誘導目標に動くと、他の市場金利も連動して動く。
3.短期金融市場の金利水準が変わると、短期プライムレートも変更になる(マイナス金利政策の場合は、銀行等の各種コストや利鞘などにより下限金利となり、これ以上下がらなくなる)。
短期プライムレートと貸出金利
短期プライムレートは、ローン金利の基準となるもので、企業向け融資と個人向け融資の両方に用いられています。
|企業向け融資の場合
各企業への短期の融資金利(貸出金利)については、短期プライムレートや市中金利をもとに、信用リスク等の大きさに応じて上乗せ金利を付加して決定されます。
通常、中小企業向けの場合は、短期プライムレート連動の貸出が多いですが、大企業向けの場合は、市中金利に利鞘を上乗せした「スプレッド貸し」が主流であり、その金利は短期プライムレートより低いケースも多く、短期プライムレートが常に「最優遇」とは限らないのが現状です。
|個人向け融資の場合
変動金利型の住宅ローンや教育ローンなどの貸出金利は、短期プライムレートを基準(指標)に、半年毎に利率の見直しが行われます。
通常、住宅ローンの変動金利(店頭金利)は、短期プライムレートに1%上乗せした水準となっており、毎年、4月と10月に金利の見直しが行われます(日銀の政策金利が動かなければ、短期プライムレートは変更されず、住宅ローンの変動金利も変わらず)。
短期プライムレートの動向
短期プライムレートのヒストリカルデータ(時系列データ)は、日本銀行のウェブサイトにおいて、預金・貸出関連統計の中の「長・短期プライムレート(主要行)」で閲覧することができます。
●1989年-1990年(バブル期)
最高値:8.250%、最低値:4.250%
●1991年-2000年(バブル崩壊期)
最高値:7.875%、最低値:1.500%
●2001年-2010年(デフレ期)
最高値:2.125%、最低値:1.375%
●2010年-2020年(デフレ期)
最高値:1.475%、最低値:1.475%
●2021年-現在(コロナ後)
最高値:1.475%、最低値:1.475%
※2009年1月以降、短期プライムレートは「1.475%」で、長い間、全く変わらず。