新BIS規制

読み方: しんびすきせい
英語: Basel III
分類: 金融規制

新BIS規制は、主要国の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が2010年9月に公表した、国際的に業務を展開している銀行(国際統一基準行)の健全性を維持するための新たな自己資本規制である「バーゼル3」のことをいいます。

具体的には、国際統一基準行の自己資本の質と量の見直しが柱で、普通株と内部留保などからなる「狭義の中核的自己資本」を、投資や融資などの損失を被る恐れがある「リスク資産」に対して、一定割合以上持つように義務づけるものとなっています。

一般に新BIS規制では、2008年-2009年の世界金融危機を教訓に、仮に銀行が経営危機に見舞われても、返済不要の普通株などによる資金を十分に持っていれば、損失を穴埋めできて危機を回避できるという考え方に基づいています。

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新BIS規制の内容について

新BIS規制では、業績悪化時に配当を機動的に減らせる普通株式と過去の利益の蓄積である内部留保が主体の「狭義の中核的自己資本」の比率を実質7.0%以上とすることが求められています。

具体的には、普通株式等Tier1の最低所要水準が2.0%から4.5%に引き上げられ、また銀行は将来のストレス期に耐え得るように2.5%の資本保全バッファーを保有することが求められるため、合わせて狭義の中核的自己資本の所要水準は7.0%となります(自己資本比率では8%以上)。

さらに、自己資本比率の強化に加えて、新たな指標として「流動性カバレッジ比率」や「レバレッジ比率」を設けることによって、流動性リスクの把握やレバレッジの肥大化抑制をモニタリングする仕組みも導入されています。

BIS規制の経緯について

1988年:バーゼル1を合意
1996年:トレーディング勘定にかかる市場リスク部分を追加
1998年:バーゼル1の見直しを検討開始
2004年6月:バーゼル2を最終合意
2007年3月:バーゼル2を適用開始
2009年12月:バーゼル3の協議案を公表
2010年7月:バーゼル3の規制改革パッケージを合意
2010年9月:バーゼル3の最低自己資本基準を合意
2010年11月:G20で制度設計および水準調整を含めたバーゼル3の包括的パッケージを承認
2010年12月:バーセル銀行監督委員会がバーゼル3の最終文書を公表
2013年:バーゼル3の段階的実施を開始
2019年:バーゼル3の完全実施

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