コール市場

読み方: こーるしじょう
英語: Call market
分類: インターバンク市場

コール市場は、インターバンク市場の一つで、銀行等の金融機関同士で短期の資金の貸借が行われるマーケットをいいます。

日本で最も歴史のある代表的な短期金融市場で、1901年の金融恐慌の経験に基づき、預金に対する支払準備資金の必要性に対する認識が高まったことなどを背景に、金融機関相互の資金繰りを最終的に調整し合う場として自然発生的に成立し、発展してきました。

ここでは、短期金融市場の一つである「コール市場」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

コール市場の役割

銀行等の金融機関は、個人や企業などから預金の形で資金を調達する一方で、貸出(ローン)や有価証券(債券・株式等)の投資などで資金を運用しており、それらの取引を日々行った結果として、資金の運用額と調達額の間に差額が生じることになります。

このような状況に対して、コール市場は、金融機関の日々の手元資金の過不足を調整する貸借の場としてメインに利用されており、余剰分があれば貸し出し、また不足分があれば借り入れるという取引が日々機動的に行われています。

ちなみに、「コール市場」という名称は、"Money at call"=呼べばすぐ返ってくるほど、短期の資金の貸し借りであることに由来します。

コール市場の取引

コール市場の取引には、担保を必要とする有担保コールと、担保を必要としない無担保コールの2つがあり、その中で取引の中心となるのが、今日借りて(貸して)、明日返す(返済する)無担保コール翌日物です(取引期間の最短は、借りた当日のうちに資金を返済する日中コール)。

また、資金の出し手(貸し手)が供給する資金をコールローン、資金の取り手(借り手)が調達する資金をコールマネーと言います。

コール市場の概要

かつては、公定歩合(現:基準割引率および基準貸付利率)の操作が日銀の金融政策の根幹でしたが、時代の変遷によりコール市場の拡大などで金融機関の日銀借入の残高が大きく減少し、今日では「無担保コール翌日物レート」が日銀金融政策のターゲットになっています。

なお、日本経済新聞のマーケットデータ欄には、短期金融市場の情報の一つとして、コールレートと全国コール市場残高が掲載されています。

コール市場の主な特色

コール市場は、金融機関が日々の短期的な資金の過不足を調整するための取引を行う場であり、以下のような特色があります。

・日本の短期金融市場の代表的な市場である。
・現在、無担保コール翌日物が取引の中心となっていることから、「無担保コール翌日物レート」が指標金利となっている。
・銀行、信託、信用金庫、投信会社、証券会社、保険会社、および取引の仲介業者である短資会社など、取引参加者が限定されている。
・恒常的かつ安定的に、資金の取り手と出し手が存在する。
・取引の仲介を行うのが短資会社で、また金融機関同士のダイレクト取引も行われている。
・大口の資金を容易かつ確実に運用・調達ができ、市場が効率的であり、また取引の安全性も高い。

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