保険
読み方: | ほけん |
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英語: | Insurance |
分類: | 概念 |
保険は、偶発的な事柄(保険事故)によって生じる経済的不安(損失)に備えて、多数の者が掛け金(保険料)を拠出し、それを原資として保険事故に遭遇した者に所定の金額を給付する制度をいいます。
具体的には、将来起こる可能性のある危険(リスク)に対し、予測される事故発生の確率に見合った一定の保険料を加入者が公平に分担し、万一の保険事故に対して備える「相互扶助の精神」から生まれた助け合いの仕組みとなっています。
ここでは、身近な金融取引である「保険」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
保険の基本事項
保険とは、死亡や傷害、火災、盗難、事故などの偶発的事故による経済的損失に備えるため、保険団体を形成して、同じ危険(リスク)にさらされている多数の経済主体(個人・法人等)に対し、合理的計算に基づく危険度に応じた公平な負担(保険料)を課し、それを継続的にプールして、事故が発生した場合に損害・損失が保険団体から補償される制度をいいます。
保険のリスク
保険のリスクとは、偶然な事故により、損害や損失を受ける可能性(不確実性)がある状態をいいます。また、偶然な事故には、火災や事故など発生の可能性はあるが必ず発生するとは予測できないものと、死亡など必ず発生するがその時期を予測できないものとがあります。
保険の成立条件
保険の成立条件としては、以下の3つが挙げられます。
(1)偶発的事故による損失についてのものである。
(2)保険料が大数の法則による合理的計算に基づくものである。
(3)対象となる経済的損失が金銭に評価し得るものである。
保険の仕組み(運営者・関係者)
保険は、経済社会において、個人や法人(企業等)などのリスクマネジメント手法の重要なものとなっており、現在、公的保険から民間保険まで様々制度が運営され、その仕組み(運営者・関係者)は以下のようになっています。
保険の担い手(運営者)
現在、日本において、保険制度の運営者(担い手)は、国や地方公共団体、保険会社、再保険会社、少額短期保険業者、共済などとなっています。
|国|
国民年金や厚生年金保険、雇用保険、労災保険などを運営している。
|地方公共団体|
国民健康保険や介護保険などを運営している。
|保険会社|
生命保険や損害保険、第三分野保険などの保険業を営む者で、生命保険会社と損害保険会社がある。
|再保険会社|
通常の顧客向けの保険事業は行わず、保険会社を相手とする再保険事業を専門に行う会社をいう。
|少額短期保険業者|
保険業法上の保険業のうち、一定事業規模の範囲内で少額・短期の保険の引受けのみを行う業者をいう。
|共済|
営利を目的とせず、組合員同士の相互扶助という理念の下に事業活動(共済事業)を行っている組織をいう。
保険の関係者
保険の関係者として、保険者、被保険者、保険契約者、保険金受取人がいます。また、損害保険では、被保険者が保険金受取人となっています。
|保険者|
保険事業を運営し、保険事故が起きた時に、保険金を支払う義務を負うことになる者をいう。
|被保険者|
その人の生死や疾病、災害などに関して、保険の対象となっている人(個人・法人)をいう。
|保険契約者|
保険者(保険会社等)と保険契約を締結する人(個人・法人)をいう。
|保険金受取人|
保険事故が発生した際に、保険契約に基づき、保険金や給付金などを受け取る権利を有する人(個人・法人)をいう。
保険の分類
保険は、内容や仕組みによって様々な分類があり、具体的には、以下のように分けられます。
公営保険と民営保険
保険は、社会政策や経済政策として実施される「公営保険」と、民間の営利または非営利団体によって実施される「民営保険」に分類されます。
元受保険と再保険
保険は、再保険契約に対して、その元の保険契約(原保険)である「元受保険」と、保険者が引き受けた保険責任の一部または全部を他の保険者に引き受けさせる保険である「再保険」に分類されます。
営利保険と非営利保険
保険は、保険経営の動機が収益を目的とするものである「営利保険」と、保険経営の動機が収益を目的としないものである「非営利保険」に分類されます。
強制保険と任意保険
保険は、自動車保険の自賠責保険など保険加入が強制となっている「強制保険」と、自動車保険の任意保険など保険加入が任意となっている「任意保険」に分類されます。
人保険と物保険
保険は、生命保険や疾病保険、傷害保険など人体に対して生じる保険事故(死亡・病気・ケガ等)を対象とする「人保険」と、火災保険や運送保険などモノに対して生じる保険事故(損傷・焼失・盗難等)を対象とする「物保険(財産保険)」に分類されます。
企業保険と家計保険
保険は、経営(事業運営)のリスクに対処するために企業が利用する「企業保険」と、日常生活のリスクに対処するために家計(個人)が利用する「家計保険」に分類されます。
個別保険と団体保険
保険は、保険者が被保険者を選択する基準として各人を対象とするものである「個別保険」と、団体生命保険や団体医療保険など保険者が被保険者を選択する基準として団体を対象とするものである「団体保険」に分類されます。
長期保険と短期保険
保険は、生命保険や医療保険などの商品に多い、保険期間が長期である「長期保険」と、損害保険の商品に多い、保険期間が短期である「短期保険」に分類されます。
貯蓄保険と費用保険
保険は、保険料に貯蓄要素がある「貯蓄保険」と、保険料に貯蓄要素がなく費用に該当する「費用保険」に分類されます。
定額保険と不定額保険
保険は、人保険が主に該当する、保険事故の発生に際して支払われる保険金が定額である「定額保険」と、物保険が主に該当する、保険事故の発生に際して支払われる保険金が不定額である「不定額保険」に分類されます(傷害保険などでは不定額保険の場合もあり)。
有配当保険と無配当保険
保険は、保険契約者に対し、剰余金の分配が行われる「有配当保険」と、保険料を安くする代わりに剰余金の分配が行われない「無配当保険」に分類されます。
生命保険と損害保険と第三分野保険
日本において、保険は、第一分野(保険業法上の生命保険固有分野)、第二分野(保険業法上の損害保険固有分野)、第三分野(第一分野と第二分野の中間に位置する分野)の3つに分類され、現在、生命保険会社は第一分野と第三分野を、また損害保険会社は第二分野と第三分野を取り扱うことができます。
生命保険について
生命保険は、人の死亡または一定の年齢までの生存に対して、一定の金額を支払うことを約束する保険をいいます。また、保険事由の定め方によって、死亡保険、生存保険、生死混合保険の3つに区分されます。
現在、個人向けの商品には、定期保険や収入保障保険、終身保険、利率変動型積立終身保険、養老保険、個人年金保険などがあります。
損害保険について
損害保険は、偶然の事故により生じた損害をてん補する保険をいいます。
現在、個人向けの商品には、火災保険や地震保険、自動車任意保険、自動車損害賠償責任保険、普通傷害保険、海外旅行傷害保険、個人賠償責任保険などがあります。
第三分野保険について
第三分野保険は、第一分野と第二分野のどちらにも属さない、生命保険会社と損害保険会社のどちらでも取り扱うことができる保険をいいます。
現在、個人向けの商品には、医療保険や介護保険、傷害保険などがあります。