預金者保護法
読み方: | よきんしゃほごほう |
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分類: | 法律 |
預金者保護法は、「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」の通称をいいます。これは、日本において、キャッシュカードが偽造や盗難に遭って預金が引き出された場合、原則として被害額の全額をカード保有者に補償する法律となっています。
2006年2月に同法の施行後、金融機関は、犯罪対策としてATMやCDの利用限度額を引き下げたり、ICカードへの切り替えを進めたり、生体認証型の安全システムを導入したりしたため、昨今では、その被害件数は減少傾向にあります。
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預金者保護法の概要
預金者保護法は、2000年代に偽造ガードや盗難カードなどを使った犯罪被害が相次いだことから、預金者保護の見地から議員立法で成立した法律です。
具体的には、預金者がカード犯罪の被害に遭い、警察と金融機関に被害届けを出した場合、被害者に重大な過失があったことを金融機関側が証明できなければ、全額が補償されるという内容になっています(原則、届け出から30日前までの引出し被害が補償対象)。
預金者保護法の原則
預金者保護法では、原則として、(1)預金者の過失を立証する責任は金融機関にある、(2)偽造・盗難カードの犯罪被害は過失がなければ全額補償するとしています。
一方で、補償がカットされて預金者側の責任が求められるケースもあり、具体的には、過失面において「故意や重大な過失はない(全額補償)」「軽い過失があった」「重大な過失があった」で、実際の補償額が異なってきます。
例えば、暗証番号を他人に知らせる、暗証番号をカードに書く、カードを安易に他人に渡す、というような重大な過失があった場合には、預金者側の責任が問われることもあります。
預金者保護法の保護対象
現在、預金者保護法の保護対象は、銀行や信託銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、漁業協同組合など、ほぼ全ての金融機関の預貯金が対象となっています。
一方で、盗まれた通帳による被害や、インターネットバンキングで預金を不正に引き出される被害は、預金者保護法の補償対象外となっていますが、2008年に全国銀行協会は業界の自主ルールを定め、預金者に過失がない場合は、通帳やインターネットを通じた被害も原則、補償する姿勢に転じました。