ペイオフとは何か?
バブル崩壊後の1990年代後半に金融機関の不倒神話が崩れ去り、2005年に「ペイオフ(Pay Off)」が全面解禁されました。
ペイオフとは、金融機関が破綻した場合に、預金が全額払い戻されないことや、預金保険機構に積み立てた保険金から預金者に一定額の払い戻しを保証する制度のことをいいます。
ここでは、ペイオフの概要について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
日本の預貯金の保険制度について
現在、日本において、預金保険法で定められている「預金保険制度」は、万が一、銀行や信金、信組、労金などの金融機関が破綻した場合に、預金者等の保護や資金決済の履行の確保を図ることによって信用秩序を維持することを目的としており、また政府・日本銀行・民間金融機関が出資する預金保険機構が運営主体となっています。
一方で、農水産業協同組合(農協・漁協)や農林中金などは、預金保険機構に加入していないため、預金保険の対象外ですが、別の仕組みである「農水産業協同組合貯金保険機構」に加入しており、ほぼ同様の保護制度(農水産業協同組合貯金保険制度)が用意されています。
ペイオフの概念と歴史について
ペイオフとは、元来、1971年に施行された預金保険法に基づき制定されたもので、銀行等の金融機関が破綻した時に、預金保険機構に積み立てた保険金から預金者に一定額の払い戻し(定額保護)を保証する制度です。
当初の定額保護の上限は100万円でしたが、その後、預金高の上昇にあわせて、1979年に300万円、1986年に1000万円に引き上げられました。長い間、日本では、金融業界が護送船団方式であったため、バブル崩壊後まで、預金保険が発動することはありませんでした。
しかしながら、1990年代後半にバブル崩壊の不良債権問題で金融機関が相次いで破綻したのを受け、預金保険法の数度にわたる改正が行われた結果、金融危機を回避し、金融システムを維持していくための様々な金融安定化制度の根拠法となり、またペイオフの制度も改正されました。そして、2005年にペイオフが全面解禁されました。
|ペイオフの意味
ペイオフは、今日では、以下の二つの意味で用いられています。
◎金融機関が破綻した場合に、預金等の一定額しか預金保険の保護の対象にならないこと(預金者に損失の負担が生じうること)。
◎金融機関が破綻した場合の破綻処理方式の一つとして、預金保険機構が保険金を直接預金者に支払う方式のこと。
|日本でのペイオフの解禁
・1996年の預金保険法改正で 2001年3月末までの間、預金の全額保護が決められ、ペイオフ解禁が5年間凍結された
・2000年の法改正でペイオフ解禁の期限が1年間延長され、定期預金等は2002年3月まで、普通預金等は2003年3月まで全額保護され、それ以降は1000万円までの預金とその利子を限度とするとされた
・2002年4月に定期預金等のペイオフが解禁(一部解禁)
・2002年10月に普通預金等のペイオフ解禁が2005年4月まで延期
・2005年4月に普通預金等のペイオフが解禁(全面解禁)
・2010年に日本振興銀行の破綻の際にペイオフが初めて実施された
ペイオフの預金等の保護状況について
現在、日本の預金保険制度では、個人や法人などの預金者に対して、一つの金融機関につき、預金者一人に1000万円までの元本とその利息を保護しています。また、当座預金や無利息型普通預金など利息の付かない決済性預金については、その全額を保護しています。
|預金保険による保護の対象となる預金等
●決済用預金
当座預金、無利息型普通預金等
→ 全額保護
●一般預金等
有利息型普通預金、定期預金、通知預金、貯蓄預金、納税準備預金、定期積金、掛金、元本補てん契約のある金銭信託、金融債(保護預り専用商品に限る)等
→ 合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等を保護
|預金保険の対象外の預金等
●対象外の預金等
外貨預金、譲渡性預金、金融債(募集債及び保護預り契約が終了したもの)等
→ 保護対象外