経済指標

読み方: けいざいしひょう
英語: Economic Indicators
分類: 概念

経済指標は、各国の公的機関等が発表する、経済状況を構成する要因(物価・金利・景気・貿易等)を数値化した、経済の現状や過去からの変化を正確に把握できるものをいいます。これは、資産運用においては、マーケットが、その国の経済状況に応じて変化するため、将来の価格(レート)の方向性を予測する上で役立ちます。

ここでは、マーケットを見る上で必須の「経済指標」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

経済指標の種類

経済指標は、日々、公的機関や中央銀行、調査機関、シンクタンクなど様々な機関・団体によって発表され、マーケット(相場)に大きな影響を与えますが、特に以下の5つが重要です。

・金利に関する指標(政策金利)
・景気に関する指標(GDP、景況感調査、消費動向)
・雇用に関する指標(雇用統計)
・物価に関する指標(物価上昇率)
・貿易に関する指標(貿易赤字)

経済指標の活用

経済指標は、資産運用においては、その国の経済状況を把握し、マーケット(相場)を予測するために活用します。また、国や中央銀行においては、政策の意思決定など様々な場面で活用されています。

・公的機関等の発表であり、結果の正確性が高い
・勘や感覚ではなく、数値で客観的に経済状況を把握
・市場のトレンドを指標発表後の反応で確認可能

経済指標の視点

経済指標には、前回値、今回予想値、今回発表値の3つがあり、マーケットで重視されるのは「今回発表値と今回予想値の差(違い)」です。また、相場が逆に動いた場合は、その方向が現時点のトレンドとも考えられます。

・発表値と予想値の差が大きい → 相場は動くことが多い
・発表値と予想値の差が小さい → 相場は動かないことが多い

経済指標の構成

経済指標は、経済状況を示す数値データで構成されますが、データには、原数値、指数、季節調整値の3つがあります。

・原数値:加工されていない生の数値
・指数:基準値からの変化を測定
・季節調整値:季節毎の特性を除去

経済指標の重要なもの

経済指標には、様々なものがあり、各国で数十種類ありますが、その中でも特に重要なものとして、以下が挙げられます。

米国の経済指標

景気(全般) GDPISM製造業景気指数ISM非製造業景気指数ニューヨーク連銀指数フィラデルフィア連銀指数鉱工業生産耐久財受注
景気(消費) ミシガン大学消費者信頼感指数消費者信頼感指数新築住宅販売件数中古住宅販売件数住宅着工件数住宅建設許可件数小売売上高個人所得・支出
雇用関連 雇用統計非農業部門雇用者数失業率)、新規失業保険申請件数
物価関連 CPIPPI
貿易・資本他 貿易収支財政収支対米証券投資

日本の経済指標

景気(全般) 国内総生産日銀短観景気動向指数
物価関連 消費者物価指数企業物価指数

ユーロ圏の経済指標

景気(全般) Ifo景況感指数ZEW景況感指数

経済指標とマーケット

外国為替市場や株式市場、債券市場、短期金融市場などのマーケットは、経済指標の発表(数値結果)によって大きく変動することがあるため、FXや株式などを取引する際には、重要な経済指標の発表日時を把握し、価格の急激な変化に対応できるように準備しておくことが大切です。

一般に経済指標の数値は、金融機関やシンクタンクなどの専門家が予想を出し、それらをロイターやブルームバーグなどの情報ベンダーが取りまとめ、事前にマーケット予想としてコンセンサス(市場での織り込み)が作られます。

そして、このコンセンサスに対して、実際に発表された数値がどうであったか(予想通りか、予想とは違いギャップがあったか)が重要であり、発表後に相場を大きく動かす要因になります。

経済指標の注目ポイント(米国の経済指標)

現在、国内外の経済指標には相場に影響を与えるものが数多くありますが、その中でも世界最大の経済大国である「米国の経済指標」は特に注目されています。

◎毎月、米国の雇用統計に先だって、消費者信頼感指数やISM製造業景気指数、ADP雇用統計などでも雇用関連の数値の発表があり、これらを参考に様々な思惑で取引が行われ、雇用統計の発表日に向けてマーケットは大きく盛り上がっていくことになる。

◎米国の製造業関連指標には、いくつかの種類があり、マーケットの注目度は、(1)ISM製造業景気指数、(2)フィラデルフィア連銀製造業景気指数、(3)ニューヨーク連銀製造業景気指数の順になっており、この3指数は相関関係が比較的高いと考えられている。

◎米国の製造業関連指標のチェックについては、15日のニューヨーク連銀製造業景気指数で大まかな方向性を予測し、第3木曜日のフィラデルフィア連銀製造業景気指数でコンセンサスを形成し、そして翌月第1営業日のISM製造業景気指数で実際の数値を確認するという流れとなっている。

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