投資信託と預金の違いは?
21世紀に入ってから、日本において、資産形成の必要性が叫ばれ、「貯蓄から投資へ」という言葉をよく見聞するようになりました。また、銀行や証券会社など多くの金融機関で、多様な投資商品を取り扱うようになりましたが、未だに安全志向が高く、投資は活発化していません。
一般に個人の資産運用において、貯蓄の代表商品に「預金」が、また投資の代表商品に「投資信託」がありますが、多くの方は預金が中心で、投資信託には積極的ではありません。ここでは、知っているようでいて意外と知らない、「投資信託」と「預金」の違いについて、簡単にまとめてみました。
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投資信託について
投資信託は、投資家から集めた資金を主として有価証券等で運用する投資商品をいいます。
投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が予め定めた運用方針に従って、株式や債券、短期金融商品、REITなどで運用するもので、また運用成果については、投資家の各々の投資額に応じて、公平に分配される仕組みとなっています。
現在、日本においては、ETFやREITなどの上場ファンドもありますが、大半が契約型投資信託となっています。
投資信託の運用成績
投資信託の運用成績(パフォーマンス)は、市場環境などによって変動し、運用がうまくいって大きな利益を得られることもあれば、逆に運用がうまくいかずに投資した額(元本)を下回って損をすることもあります。
昨今では、投資信託は、NISA口座や確定拠出年金の対象商品となっており、運用面で税制優遇が受けられるようになっています。
投資信託の主な特色
投資信託の主な特色として、以下が挙げられます。
・元本保証の金融商品ではない(元本割れもあり)
・運用成果によって収益が大きく変動する
・収益は運営経費を除いて公平に投資家に還元される
・購入時や解約時に手数料がかかる(ノーロードファンドは除く)
・預金保険制度の対象外である
預金について
預金は、銀行や信託、信金、信組、労金などの金融機関に金銭を預けること、および金融機関に預けられた金銭のことをいいます。これは、金融商品としては、預け先の金融機関が将来の元本の支払いを保証するほか、預金保険制度でも保護されています。
日本の預金保険制度
現在、日本の預金保険制度では、当座預金や利息の付かない普通預金などの「決済用預金」は、全額保護されるのに対して、定期預金や利息の付く普通預金などの「一般預金等」は、預金者一人当たり一金融機関毎に合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
預金の預入期間による分類
預金には幾つか分類方法がありますが、預入期間による分類では、「流動性預金」と「固定性預金」に大別されます。
|流動性預金|
普通預金、当座預金、貯蓄預金、通知預金、納税準備預金など、預入期間の定めが特になく、預金者からの払戻請求により、いつでも自由に出し入れができる預金。
|固定性預金|
定期預金、定期積金、譲渡性預金など、予め預入期間が定められていて、原則として払戻期日前に引き出すことができない預金。
預金の主な特色
預金の主な特色として、以下が挙げられます。
・金融機関が将来の元本の支払いを保証する
・一部の対象外商品を除き、預金保険制度で保護される
・個人においては、普通預金と定期預金が定番である
・超低金利下においては、利息はほどんと付かない
投資信託と預金の違いについて
投資信託と預金は、多くの方は全くの別物であると認識されていますが、一方で銀行等で販売されている投資信託については、厳選された良い商品でリスクも少ないと錯覚しがちです。
特に投資初心者の場合、投資信託を購入するまで元本割れ(評価損)のリスクを実感したことがないせいか、実際に評価損が発生して初めて投資信託の商品特性を認識されることが多いです。
以下では、「投資信託」と「預金」の違いについて、簡単にまとめてみました。
◎預金(外貨預金・仕組預金等を除く)は、元本保証されているのに対して、投資信託は、元本保証されていない(ファンドによっては、元本が半分になることも珍しくない)。
◎預金は、預金保険制度の対象であるが、投資信託は、預金保険制度の対象外である。なお、投資信託は、分別管理で、信託財産の安全が図られている。
◎預金は、金融機関が運用して利息が付くというシンプルな商品設計なのに対して、投資信託は、安全性の高い債券等を主体とするものから、収益性(リスク)の高い株式等を主体とするものまで、商品設計は多様であり、実際の取引にあたっては、商品内容の十分な理解は必須である。
◎預金は、運用収益である利息を定期的に受け取れるのに対して、投資信託は、運用状況によって、収益分配金を受け取れないことも珍しくない(ファンドによっては、運用成績が悪くて、数年にわたって無配というものもある)。
◎預金は、円預金であれば解約の判断が難しくないのに対して、投資信託は、儲かっている時も、損している時も、売却(解約)の判断は自分でするしかなく、全て自己責任である(投資信託は、長期投資が基本とされるが、ずっと持ち続けても損することがあり、利益確定は大きなカギとなる)。
◎預金は、通常、手数料がかからないのに対して、投資信託は、各種手数料がかかかり、そのコストは結構大きい。