変額保険
変額保険は、払い込んだ保険料のうち、積み立てられる分を株式や債券などで運用する「特別勘定」の運用実績に応じて、保険金や解約返戻金が変動(増減)する保険をいいます。これは、死亡保険金(高度障害保険金)は保証されていますが、満期保険金や解約返戻金は保証されていません。
一般に普通の保険(定額保険)は、払い込んだ保険料のうち、保険金の支払原資として積み立てている勘定については、保険会社が運用責任を負うのに対して、変額保険では、契約者が運用責任(投資リスク)を負うことになります。
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変額保険の商品タイプ
変額保険の商品には、特別勘定が単一のタイプと、複数の特別勘定が用意されて自由にスイッチングできるタイプの2つがあり、昨今では、後者の方が主流となっています。
また、複数の特別勘定(ファンド)が用意されている商品については、契約者が自分の投資判断にしたがって、各ファンドの運用状況を見ながら適宜乗り換えて、より主体的に運用することになります。
変額保険の有期型と終身型
変額保険は、大きく分けて、保険期間が一定の「有期型」と一生涯保障が継続する「終身型」の2つのタイプがあります。
どちらのタイプも、死亡した(高度障害になった)時には「基本保険金+変動保険金」を受け取ることができ、基本保険金額については、運用実績にかかわらず最低保証されます。そのため、変動保険金が仮にマイナスになった場合でも、基本保険金額は確実に受け取ることができます。
◎有期型では、満期を迎えると「満期保険金」を受け取ることができるが、最低保証がないため、その金額は運用実績により基本保険金額を上回る場合もあれば下回る場合もある。
◎有期型も終身型も、解約時に受け取る「解約返戻金」については、最低保証がないため、その金額は運用実績により基本保険金額を上回る場合もあれば下回る場合もある。
ユニット・リンク保険の概要
ユニット・リンク保険とは、特別勘定の運用実績によって保険金額が変動する変額保険の一種です。これは、保障機能に加えて資産形成機能を重視した商品として、1960年代にヨーロッパで開発され、昨今では、欧州各国の生命保険・年金市場で主力商品の一つとなっており、日本でも既に一部の保険会社で取り扱われています。
一般にユニット・リンク保険は、積極的な資産形成と死亡保障という二つの機能を備えた変額保険で、運用成果が死亡保険金に反映される通常の変額保険とは異なり、運用成果を積立金のみに反映させるため、貯蓄性が高いことが特徴となっています。
◎保険期間中に被保険者が死亡した(高度障害状態になった)場合には、基本保険金額もしくは積立金額のいずれか大きい額を死亡保険金(高度障害保険金)として受け取れるという仕組みになっている。
◎運用実績によって、満期保険金や解約返戻金は変動し、また死亡保険金は、当初加入の基本保険金額が最低保証される。
変額保険の基本事項
変額保険は、通常の保険と比べて、リスクが非常に大きいため、加入(契約)の際には、内容面で不明な点がなくなるまで、しっかりと理解(確認)することが必要です。
一方で金融機関側では、顧客と契約する際に、資産の運用方法(運用資産の種類、評価方法、運用方針など)や、商品の仕組み(資産の運用実績によって将来受け取る保険金等の額がどのように変動するかなど)について、書面を用いて説明することになっています。
また、契約後も、運用実績などについて、1年毎に書面を交付することになっています。
取扱機関 | 生命保険会社、保険代理店、証券会社、銀行など |
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カバーリスク | 死亡、長生き(老後資金) |
保険期間 | 有期型または終身型 |
加入年齢 | 商品により異なる |
貯蓄性 | 有り |
保険金 | ・死亡保険金 ・高度障害保険金 ・満期保険金(有期型の場合) |
メリット | ・運用成果が良ければ、契約した保険金を上回る保険金額を受け取れる ・死亡保険金や高度障害保険金については、運用成果によらず、基本保険金は最低保証される ・インフレに対応できる |
デメリット | ・特別勘定の運用成果により、元本割れになることもある(ハイリスク・ハイリターン型の商品) ・満期保険金や解約返戻金は保証されない |