一時払い終身保険

一時払い終身保険は、生命保険会社が提供する、契約時に保険料一時払いすることで、一生涯の死亡保障を確保できる保険商品をいいます。

終身保険の一種で、契約時にまとまった保険料を支払うと、払込保険料より大きな死亡保障が一生涯続き、また定期預金や個人向け国債などよりも利回りが高い場合が多く、貯蓄手段や相続対策の一つとして利用する人も多いです。

目次:コンテンツ構成

一時払い終身保険の仕組み

終身保険とは、一生涯の「死亡保障」を確保できる保険で、被保険者が死亡または高度障害になった場合に保険金が支払われ、また途中で解約した場合に解約返戻金が戻ってきます。通常、普通の終身保険では、一定期間または一生涯、保険料の払い込みが続くのに対して、一時払い終身保険では、契約時に保険料を一括で払い込む仕組みになっています。

・保険料の払い込みは契約時の1回だけで、一生涯の死亡保障を確保できる。
・被保険者が亡くなった場合、死亡保険金を一括もしくは年金で受け取れる。
・契約当初の保障が一時払保険料を上回るタイプと、契約当初の保障が一時払保険料と同額のタイプがある。
・銀行や証券会社などでも販売されているが、保険を引き受けるのは生命保険会社である。

一時払い終身保険の主な種類

一時払い終身保険は、保険料を一時払いする終身保険の総称をいい、具体的には、以下のような種類があります。通常、ある程度のリターンを得るには、資金を一定期間以上預ける必要があり、短期間の運用には不向きと言えます。

|一時払い定額終身保険

一時払い定額終身保険は、死亡保険金が契約時に一定の金額に決まるタイプの一時払い終身保険です。このタイプは、下記のタイプより、高い利回りは期待できないですが、比較的安全性の高い運用手段として利用できます。また、大抵、預金よりも、利回りは高くなります。

|一時払い変額終身保険

一時払い変額終身保険は、保障が契約時に最低保証されますが、運用実績によって、保険金や解約返戻金が変動するタイプの一時払い終身保険です。運用がうまくいけば、高いリターンが見込めますが、その反面、リスクも大きいです。現在、ほとんどの保険会社で販売停止となっています。

|一時払い積立利率変動型終身保険

一時払い積立利率変動型終身保険は、契約時に定めた最低利率が確保され、また一定期間毎に、市場金利に応じて積立利率が見直されて保険金と解約返戻金が増えるタイプの一時払い終身保険です。このタイプは、商品内容が少し分かりずらいので、事前に仕組みをよく理解し、また利用する際には、契約時に約束された「最低の積立利率における解約返戻金」を把握しておくことが必要です。

|一時払い外貨建て終身保険

一時払い外貨建て終身保険は、運用通貨が日本円ではない、外貨建ての一時払い終身保険です。現在、運用通貨には、米ドルや豪ドル、ユーロなどがありますが、代表的なのは米ドル建てで、仕組みは様々です。また、外貨建ての場合、保険料を決める予定利率が高く、保険料も安いため、同じ金額を支払っても保障が大きくなります。ただし、日本円に戻した場合、為替相場の変動で受取額が減るリスクがあることに注意が必要です。

一時払い終身保険のメリットとデメリット

一時払い終身保険は、死亡時の保障を確保しながら、資産を有利な条件で運用できるため、現在、銀行窓口などでも、個人年金保険と並び、人気商品の一つとして販売額が増えています。一方で、本商品を利用するにあたっては、最低限、そのメリットとデメリットを理解しておくことが必要です。

|一時払い終身保険のメリット

・一定期間経過後は、払込保険料を上回る、解約返戻金を得られる可能性が大きい。
・預金よりも高いリターンが見込め、相続手段としても有効である(受け渡す相手を指定できる、死亡保険金の非課税枠で相続税を安くできる、相続税の支払用にまとまった金額を用意できる)。

|一時払い終身保険のデメリット

・長期の保険料を一度に収めるため、まとまった資金が必要となり、また払込後は、資金が固定化される。
・早期解約(1~3年程度で解約)の場合、元本割れのリスク(解約返戻金が払込保険料を下回ること)がある。
・保険会社が万一破綻した場合は、責任準備金の90%の保証しか受けられない。

一時払い終身保険を活用した相続対策

生命保険は、相続財産として、他の金融商品にはない利用価値があり、一時払い終身保険も「相続対策」として活用できます。具体的には、死亡時に支払われる死亡保険金を「円満な遺産分割」や「葬儀費用・納税資金の準備」、「相続財産の評価」として活用できます。

・死亡保険金の受取人を指定することにより、生前に資産を分割し、お金を遺したい人に確実にお金を遺すことができる。
・万一の場合、死亡保険金はすぐに使える資金(現金)なので、葬儀費用や納税資金として活用できる。
・相続財産の評価において、生命保険金の非課税枠を活用できる。

iFinancial TV