信託
読み方: | しんたく |
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英語: | Trust |
分類: | 概念 |
信託は、信託法の第2条1項で、「特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう」と定義されています。
具体的には、委託者が信託契約や遺言などの信託行為によって、受託者に対して、金銭や有価証券、土地、建物などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って、受益者のためにその財産(信託財産)の管理や処分などをする制度となっています。
目次:コンテンツ構成
信託の担い手について
現在、日本において、信託の担い手は、信託兼営金融機関と信託会社などとなっていますが、その中でも一番身近なのは「信託銀行」です。
|信託兼営金融機関|
主に信託業務・併営業務・銀行業務を行う金融機関。組織形態は「銀行等の金融機関」で、具体的には、免許を取得した信託銀行や都市銀行、地方銀行などが該当する。
|信託銀行|
信託兼営金融機関の中で、信託業務を主な業務とする銀行。通常、「○○信託銀行」という商号を持つ銀行を指し、信託業務(金銭の信託、有価証券の信託、金銭債権の信託、不動産の信託、動産の信託等)と併営業務(不動産関連業務、証券代行業務、相続関連業務等)を行っている。
|信託会社|
信託業法に基づき、内閣総理大臣の免許または登録を受けて信託業を営む株式会社。
信託の種類について
信託は、個人においては、主に資産運用・資産管理・資産承継・社会貢献の4つの目的で利用されており、身近なものとして以下が挙げられます。
|金銭信託|
信託銀行等に金銭を信託し、信託銀行等がその金銭を管理・運用するもの。
|投資信託|
多くの投資家から集めた資金を一つにまとめて、運用会社等の専門家が投資家に代わって株式・債券等の有価証券等に投資し、その利益を投資家が受け取るもの。
|財産形成信託|
財形制度に基づき、賃金から天引きで積立金を控除して、継続的に貯蓄を行うもの。
|生命保険信託|
生命保険において、保険契約者が生前に死亡保険金をいつ・誰に・いくらずつ渡すかを指定しておけるもの。
|遺言信託|
自らの意志として、遺言により信託を設定するもの。
|家族信託|
家族の財産管理や承継に信託の仕組みを利用するもの。
|後見制度支援信託|
後見制度(成年後見・未成年後見)を本人の財産管理面で支援するための信託。
|公益信託|
篤志家の個人や企業などから、一定の社会全般の利益(公益)を目的として財産を受託し、その財産を管理・運用して公益目的を実現するのに役立てる信託。
信託の関係者について
信託の関係者としては、「委託者」と「受託者」と「受益者」の三者が基本となりますが、その他に「信託監督人」や「信託管理人」を置くこともあります。
|委託者|
信託契約において、信託の設定者のことで、その財産(信託財産)を受託者に移転し、信託目的に従って受益者のために、受託者に信託財産の管理や処分などをさせる者。
|受託者|
信託契約において、委託者から信託財産の移転を受け、信託目的に従って、受益者のために信託財産の管理または処分、およびその他の当該目的の達成のために必要な行為をする者。
|受益者|
受託者に対して、信託行為に基づいて信託利益の給付を受ける権利を有する者で、委託者と同一人である場合もあれば、別人である場合もある。
|信託監督人|
受益者のために受託者の監督を行う者。
|信託管理人|
受益者が現に存在しない場合や特定されない場合などに、受益者のために、自己の名をもって受益者が有する権利を行使する権限を有する者。
信託の基本概念について
信託をするにあたって、以下は、基本概念となります。
|信託契約|
委託者が所有する財産を受託者に移転し、信託目的(所定の目的)に従い、受託者に本財産の管理や処分をさせる契約。
|信託目的|
委託者が信託の設定によって達成しようとする具体的な目的で、また受託者の行動指針となるもの。
|信託行為|
信託を設定する法律行為で、「信託契約」と「遺言」と「自己信託」の3つがある。
|信託財産|
受託者が信託目的に従って、受益者のために管理や処分などをする財産。
|信託受益権|
受益者が有する信託行為に基づく各種権利の総称。
|信託期間|
信託契約において、信託を行うある一定の期間。
|信託報酬|
信託契約で定められた委託者が受託者に支払う業務の対価としての報酬。