金融債
金融債は、特定の金融機関が特別な法律(発行根拠法)に基づいて発行する債券をいいます。これには、定期的に利子が支払われる「利付金融債」と、利子の支払いがない代わりに利子相当額を割り引いて発行する「割引金融債」の2つがあります。21世紀に入って、資金調達の多様化と共に発行額が大きく減少し、昨今では、ほとんど発行されていません。
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金融債の発行金融機関と発行根拠法
金融債は、発行する金融機関の種類によって、長期信用銀行法や外国為替銀行法の対象となる銀行に発行が認められる「銀行債」と、株式会社商工組合中央金庫法や農林中央金庫法、信用金庫法の対象となる系統金融機関に発行が認められる「特殊金融債」の2つがありました。
前者の「銀行債」については、かつての対象行が普通銀行となり、法律上の発行可能期間が過ぎたことで終了し、今日では、系統金融機関に発行が認められる「特殊金融債」のみが発行可能となっています。
●長期信用銀行法-失効状態
昔の対象行:みずほ銀行(旧・日本興業銀行)、新生銀行(旧・日本長期信用銀行)、あおぞら銀行(旧・日本債券信用銀行)
●外国為替銀行法-2008年廃止
昔の対象行:三菱UFJ銀行(旧・東京銀行)
●株式会社商工組合中央金庫法(旧・商工組合中央金庫法)
現在の対象行:商工組合中央金庫
●農林中央金庫法
現在の対象行:農林中央金庫
●信用金庫法
現在の対象行:信金中央金庫
個人向けの金融債の発行状況(終了)
金融債は、発行方法において、利付金融債が「募集発行」と「売出発行」、また割引金融債が「売出発行」となっていました。また、発行時から発行金融機関との間で「保護預り契約」のある個人向けの保護預り商品については、2001年4月から預金保険制度の適用対象となっていました。
長年、金融債は、日本の金融市場から長期資金を得るための唯一の手段でしたが、1999年以降の金融自由化の進展と共に、金融機関の資金調達手段が多様化したため、2013年5月以降、個人向けの金融債(売出債)の発行は全て終了しました。