ファンドラップ
ファンドラップ(Fund Wrap)は、投資一任運用サービスの一種で、顧客のリスク許容度や投資目的に合わせて、金融機関の専門家のアドバイスをもとに異なるタイプの複数の投資信託(ファンド)を選び、これらを組み合わせて運用するサービスをいいます。具体的には、運用前のヒアリングから、投資方針の提案、実際の運用、報告や見直しまで、トータルなサービスが受けられます。
ここでは、証券会社や銀行などが提供する運用サービスの一つである「ファンドラップ」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
ファンドラップの特色
ファンドラップは、投資対象が投資信託(ファンド)に限定されている「ラップ口座」のことをいいます。これは、ファンドの選定にあたって、投資の専門家(プロ)のアドバイスを受けることができ、この部分が顧客にとっての付加価値となっています。
一般に通常のラップ口座は、投資対象が株式や債券、投資信託など幅広く、最低運用額(契約金額)が数千万円~数億円程度の設定が多く、また富裕層が対象なのに対して、ファンドラップは、投資対象が投資信託に限定され、また契約金額が数百万円から利用できるものもあり、通常のラップ口座と比べて利用しやすくなっています。
※ラップ口座:金融機関と投資一任契約を結び、様々な金融商品への投資を金融機関に一任する取引口座、およびそのサービスをいう。
ファンドラップのコスト
ファンドラップのコストは、通常の投資信託と同様、運用期間中は信託報酬がかかりますが、購入時の販売手数料はかかりません。その代わりに、契約資産の残高(時価評価額)に応じて、一定額の「ファンドラップフィー(投資顧問料、取引等管理手数料)」が徴収されることになります。
このようなコスト体系により、本サービスを利用するにあたっては、投資信託の信託報酬に加えて、ファンドラップフィーが必要となり、合計で投資金額の2%前後になるため、それだけのコストを毎年支払ってまで利用する価値があるかが判断のポイントになります。
投資信託とファンドラップの運用の違い
通常の投資信託の運用では、ファンドの選定から管理・見直しまで全て自分一人で行わなければならないのに対して、ファンドラップでは、投資の専門家(プロ)によるファンドの選定や運用状況のモニタリング、市場環境に合わせた運用アドバイスまで広く行ってくれます。
このような仕組みにより、通常の投資信託の運用と比べた場合、ファンドラップは、機関投資家向けの運用サービスを個人でも気軽に受けられるのが大きな違い(ポイント)と言えます。
<ファンドラップの運用ポイント>
・投資のプロがファンド選定を支援(ファンドは厳選されたものを提供)
・運用後のファンドのモニタリングも万全(運用報告書等を提供、管理も簡単)
・市場環境の変化や運用実績を勘案し、リバランスやポートフォリオの組み替えも実施
ファンドラップのサービス内容(一例)
ファンドラップは、自分一人で運用するよりも、投資のプロのコンサルティングを受けながら、しっかりとした専門知識で長期・分散投資を行った方が良いと考える方に適しています。また、ある程度まとまった資金があり、限られた時間を効率的に使うために、プロの投資支援(付加価値)の対価として手数料を支払い、本サービスを利用するというのも一つの手です。
取扱機関 | 証券会社、銀行など |
---|---|
サービス内容 | 顧客の運用方針に基づいて、投資信託(ファンド)を通じて資産を一任運用するサービス |
仕組み | 1.顧客への資産運用に関するヒアリング 2.顧客に最適な運用方法(ポートフォリオ等)の提案 3.顧客の資産を一任運用 4.定期的に運用状況を報告し、投資方針の見直しもサポート |
運用口座 | 専用の口座を開設 |
運用対象商品 | ファンドラップのために選定された投資信託 |
運用報告書 (記載例) |
・契約概要 ・運用資産の配分比率 ・今期の運用実績 ・運用資産収益率 ・資産評価額推移 ・保有銘柄残高一覧 ・取引経過 他 |
契約金額 | 数百万円~数千万円など |
契約期間 | 1年間、翌年以降は1年毎の更新 |
手数料 | 固定報酬型、成功(実績)報酬併用型など |