パートをしている主婦の方の税金は?

昨今、家計の収入が伸びない状況の中、育児や子育てが一段落した主婦の方が、家計を助けるためにパートに出て働くケースが増えています。専業主婦の時は、特に税金について注意を払う必要がありませんでしたが、パートで出て働く場合には「パート収入と税金の関係」については十分に注意を払う必要があります。

ここでは、パートをしている主婦の方の税金について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

パートに出て働く時の注意点

会社員や公務員などの専業主婦の方がパートに出て働く場合、自分自身に「所得税」や「住民税」がかかるのかどうか、また夫が負担する「税金」や勤務先から支給される「手当」などが不利にならないかどうかなど、事前に把握しておくことが必要です。

また、パートの収入額によっては、「社会保険(健康保険・厚生年金等)」に独自で加入することになるので注意が必要です。

パートの所得税と住民税

日常生活の中で、パートで収入を得ると、「所得税」と「住民税」がかかってくることがあります。

|所得税の基本事項

所得税とは、個人の一定額以上の所得に対して課税される税金(国税)です。通常、パートで働く場合、給与所得が対象となり、以下は、パート収入の課税所得金額の簡易計算式です。

課税所得金額
=給与所得-給与所得控除額(55万円)-基礎控除額(48万円)

これより、所得税が発生しない「課税所得がゼロとなる年収」は、給与所得控除額(55万円)と基礎控除額(48万円)の合計額以下であればよく、103万円以下となります。

|住民税の基本事項

住民税とは、道府県民税市町村民税の総称で、個人の一定額以上の所得に対して課税される税金(地方税)です。これには、所得割(所得に応じてかかる税金)と均等割(所得にかかわらず一律の税金)の二つがあります。

通常、パートで働く場合、給与所得が対象となり、以下は、年収162.5万円以下のパート収入の課税所得金額の簡易計算式です。

課税所得金額
=給与所得-給与所得控除額(55万円)-基礎控除額(43万円)
 ↓
課税所得金額(0円)の給与所得
=給与所得控除額(55万円)+基礎控除額(43万円)=98万円

一方で、住民税には「非課税制度」があり、多くの自治体では、その限度額は45万円となっています。

給与所得控除額(55万円)+非課税限度額(45万円)=100万円

これより、課税所得金額の最低ラインでは、基礎控除額より非課税限度額(所得45万円以下の方には課税されない)が優先されるため、年収100万円以下の場合は、住民税(所得割)は課税されません。

※パート収入が100万円以下であっても、お住まいの市区町村によっては住民税(均等割)がかかる場合がある。

パート収入と課税関係について

パート収入は、通常、給与所得となり、所得税と住民税(所得割)の年収に対する課税関係は以下のようになります。

|パート収入と課税関係:年収100万円以下

・住民税(所得割)はかからない。
・所得税はかからない。

|パート収入と課税関係:年収100万円超103万円以下

・住民税(所得割)はかかる。
・所得税はかからない。

|パート収入と課税関係:年収103万円超

・住民税(所得割)はかかる。
・所得税はかかる。

なお、住民税の均等割の非課税限度額は、居住地域によって異なりますので、事前に役所のホームページ等でご確認ください。

夫の税金への影響について

妻のパート収入は、金額によっては、夫の所得から「配偶者控除」が受けられるかどうかにも影響します。これに関しては、税制の規定により、妻のパート収入(年収)が103万円以下の場合、所得税でも住民税でも、妻は控除対象の配偶者になれます。

配偶者控除
所得控除の一つで、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に、一定の金額を差し引ける控除。

一方で、妻に48万円を超える所得(年収103万円超)があるため、配偶者控除の適用が受けられない時でも、配偶者の所得金額によっては、「配偶者特別控除」を受けられる場合があります。

配偶者特別控除
所得控除の一つで、配偶者に38万円を超える所得があるため、配偶者控除の適用が受けられない時でも、配偶者の所得金額(48万円超・133万円以下)に応じて、一定の金額を所得から差し引ける控除。

なお、配偶者特別控除を受けるためには、控除を受ける夫のその年における合計所得金額が1000万円以下であることが必要です。

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