借入と貸出と貸付と融資の違いは?

日常において、「借入」や「貸出」、「貸付」、「融資」という用語をよく見聞きしますが、その内容や違いをご存知でしょうか? 多くの方は、感覚的に意味合い(ニュアンス)を理解されているかと思いますが、いざ説明せよと言われたら、戸惑う方も多いのではないでしょうか?

ここでは、「借入」と「貸出」と「貸付」と「融資」の違いについて、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

借入について

借入(借り入れ)は、国語辞書では、金銭や品物を借りることをいいます。これは、日常的には、借り手が金銭を借りることを意味し、通常、「ローン」や「借金」のことを指します。また、本用語は、借り手側が主に使うのに対して、貸し手が金銭を貸すことを「貸出」と言います。

<本用語の使用例>

・バブル期には土地を担保に巨額の借入をしていた
・お金の借入から返済までスマホで完結できて便利だ
・設備投資のための借入は、投資に合わせて確実に行うべきだ

貸出について

貸出(貸し出し)は、金銭や物品などを他者に条件を設定して一定期間提供することをいいます。これは、金融においては、銀行等の金融機関などが貸付金を支出することであり、また信用を供与する業務(与信業務)の総称をいいます。

<本用語の使用例>

・新元号の発表で、図書館では関連書籍の貸出が増加している
・中央銀行は、ゼロ金利やマイナス金利での貸出を検討している
・銀行も既存の貸出の返済猶予などで企業を支援しているが、それも限界に来ている

貸付について

貸付(貸し付け)は、各種条件を定めて、資金や物品、権利などを貸したりすることをいいます。これは、当事者間において、金額や利率、期間、担保などを定め、約束手形や借用証書を取って資金を貸したり、また借り賃や使用料、期間などを定め、物品や権利などを貸したりすることを指します。

<本用語の使用例>

・年収の3分の1を超えた貸付はしてはいけない
・市が土地や建物などの貸付を行い、民間が運営を行う仕組みだ
・本制度は、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯が対象である

融資について

融資は、資金を融通して貸し出すことをいいます。これは、資金を必要とする法人や個人などに対して、将来における返済の約束のもとに資金を供与し、利用可能にする行為を指します。

別の視点で言い換えれば、信用を供与する行為であることから、日常的には、貸し手側が使うことが多く、借り手側にとっては、「借入」や「ローン」といった用語の方が馴染みが深いです。

<本用語の使用例>

・中小企業では、保証協会付きの融資を勧められることが多い
・不動産投資は、金融機関の融資を受けながら資産運用ができるという利点がある
・緊急経済対策として、利子分を自治体が担うことで、実質的に無利子で融資を受けられる制度を設けた

借入と貸出と貸付と融資の違いについて

最後に「借入」と「貸出」と「貸付」と「融資」の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。

◎借入と貸出と貸付と融資は、どれも「ローン」に関係する用語で、お金を貸借するという点では同じであるが、通常、「借入」が借りる側が使う用語なのに対して、「貸出」と「貸付」と「融資」は貸す側が使う用語となっている。ただし、実際は、借りる側も「融資(貸出、貸付)を受けられない」というように使うことも多い。

◎「融資」は資金を貸す場合のみに使われるのに対して、「貸出」と「貸付」は資金以外に物品等を貸す場合にも使われる。また、金融取引では、「貸出」と「貸付」は、ほぼ同義で使われているが、簿記の勘定科目では、「長期貸付金」や「短期貸付金」というように「貸付」の方が使われている。

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