抵当権者と抵当権設定者の違いは?

住宅ローンなどで不動産(土地・建物)に「抵当権」を設定する場合、「抵当権者」や「抵当権設定者」といった用語が使われることがあります。この二つは、「設定」が入るか入らないかの違いですが、具体的にはどう違うのでしょうか?

ここでは、意外と勘違いしやすい、「抵当権者」と「抵当権設定者」の違いについて、簡単にまとめてみました。

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抵当権について

抵当権は、債務が弁済されない場合に、担保物件の競売代金から優先的に弁済を受ける権利をいいます。

特定の債権を保全するための担保権で、債務者または第三者(担保提供者)が提供した担保物の占有を債権者に移さず、抵当権設定者の手元に留めて、それを使用・収益させながら、万が一、債権が弁済されない時は、その担保物を(任意)競売し、その代金により、他に優先して弁済を受ける権利となっています。

抵当権者について

抵当権者は、債権者が債権を保全するために、抵当権設定契約に基づき、債務者等の所有する不動産などの財産に対して、抵当権を設定した時の債権者をいいます。また、抵当権の一種である根抵当権においては、「根抵当権者」と言います。

通常、不動産登記簿乙区に記録される抵当権において、権利者として記載されている者を指し、例えば、金融機関や保証会社、貸金業者などが該当します。

抵当権設定者について

抵当権設定者は、債権者が債権を保全するために、抵当権設定契約に基づき、債務者等の所有する不動産などの財産に対して、抵当権を設定した時の債務者等(担保提供者である債務者物上保証人)をいいます。また、抵当権の一種である根抵当権においては、「根抵当権設定者」と言います。

第三者について

特定の法律関係において、これに関与する当事者以外の者を「第三者」と言い、抵当権設定契約の場合には、抵当権設定者と抵当権者を契約の「当事者」と言うのに対して、それ以外の者を「第三者」と言います。

抵当権者と抵当権設定者の違いについて

最後に「抵当権者」と「抵当権設定者」の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。

抵当権者と抵当権設定者の位置づけ

◎抵当権者と抵当権設定者は、債権者と債務者等の間で担保権の一つである「抵当権」を設定する場合の当時者で、「抵当権者」が優先して弁済を受けられる権利を持つ債権者を指すのに対して、「抵当権設定者」は担保物件を提供する債務者等を指す。

◎根抵当権の場合は、「抵当権者」と「抵当権設定者」の代わりに、「根抵当権者」と「根抵当権設定者」が用いられる。

※抵当権設定契約書では、これらの用語を使わず、「甲」や「乙」などを使って表記されることも多い。

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