税金の課税の仕組みは?

日本において、国税地方税の法律案の作成を担当する役所は、「財務省主税局」と「総務省自治税務局」ですが、国会の承認を受けて法律が確定した時には実施する機関は別になります。

国税の場合は、国税に関する法律を執行し、税金を賦課徴収する機関は「国税庁」です。現在、国税庁は、財務省の外局という位置づけで、全国に11の国税局(札幌、仙台、関東信越、東京、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本)と沖縄国税事務所を抱える大きな組織で、これらの管内にさらに「税務署」を抱えています。

一方で地方税の場合は、国税庁のように、総務省自治税務局の外局にあたる機関はありません。その代わり、都道府県および市町村が地方税についての執行機関となっています。具体的には、全国の道府県では、道府県民税にかかわる事務を総轄する税務課が置かれ、その出先機関として税務事務所が各地域ごとに置かれています。ただし、個人の住民税である道府県民税については、市町村における住民税である市町村民税と一緒に徴収されています。

・国税 (財務省主税局>国税庁>国税局>税務署)
・地方税 (総務省自治税務局>地方公共団体>税事務所・税務課)

税金の位置づけについて

租税制度は、政治や経済、外交、教育など国が様々な活動を行うために必要な財力を調達し、管理・使用するための財政制度の一環として存在します。そして、租税は、財政制度の中の財源調達手段の一つとして位置づけられ、国民主権に基づく民主主義国家が活動する上で必要不可欠な制度と言えます。

・財政学(=財政制度>税制度)

税金と法律の関係について

税金と法律の関係について、簡単に記すと、以下のようになります。

(1)納税の義務

国家が国民に対して新たに税金を課す、あるいは現行の租税を変更する場合には、法律によらなければなりません。これは、財政民主主義から導かれる考え方として「租税法律主義」(憲法第84条)と言います。その一方で、国家活動の財政的裏付けは税収入に大きく依存するため、国民が「納税の義務」(憲法第30条)を負うことは必然となります。

(2)法体系

国税(内国税のことであり関税等を除く)に関する、一般的(総論的)な規定をした法律には下記の3つがあります。

1つは「国税通則法」で、国税についての基本的・共通的事項を定め、税法の体系的構成を整備しており、国税にかかわる法律関係を明確にする役割を果たしています。したがって、所得税や法人税などの個別税法に特別の規定がない限り、一般法たるこの法律の規定が準用されます。

2つめは「国税徴収法」で、主として国税滞納処分に関して徴収手続きを定めています。これには、国税と他の債権との調査に関する問題など実体的な規定も含まれています。

3つめは「国税犯則取締法」で、税務職員についての国税反則事件の反則調査手続及び通告処分制度を定めています。なお、税務上の争いについては、「国税通則法」や「国税徴収法」に一部規定があるものを除き、行政不服審査法及び行政事件訴訟法の定めるところによります。

(3)運用体系

租税制度を行政として、現実に運用していくための体系が存在します。最上位には、行政法としての法律が位置し、その下に法規たる性質を持つ「法規命令」、さらに下位に法規たる性質を有しない「行政規則」があります。通常、租税制度においては、法規命令及び行政規則のうち、法律の規定を執行・適用するために発せられる「執行命令」及び「執行規則」が運用されており、税務通達はこの内、執行規則の一つとなっています。

・法体系 (法>執行令>執行規則>取扱通達)

課税の原則について

一般に課税の原則は、「公平」「中立」「簡素」の3点です。

(1)公平

課税の公平という場合には、「水平的公平」と「垂直的公平」が問題になります。水平的公平とは、等しい経済状況にある人々は等しい税負担を負うべきであるという考え方であり、一方で垂直的公平とは、異なる経済状況にある人々は異なる税負担を受けるべきであるという考え方です。なお、水平的公平も垂直的公平も、「等しい経済状況」の意味するところを何にするか、また公平というものの価値観をどう捉えるかによって大きく左右されます。

(2)中立

課税の中立とは、経済的中立性、すなわち個人や企業が行う経済活動に対して税制が干渉して、その意志決定を歪めてはならないということを意味します。この経済的中立性を重視する立場は、市場メカニズムに対するする強い信頼を背景にしており、必ずしも普遍的有効性を持つとは言い切れません。なお、日本の税制においては、従来から、租税特別措置が経済的中立性から好ましくないとする見解と、経済政策上必要だとする見解とが交錯しています。

(3)簡素

課税の簡素という条件には、明確な定義があるわけではなく、税制が納税者にとって分かりやすく、納税コストおよび徴税コストが小さいということになろうかと思われます。また、簡素という条件でのポイントは、課税方法の簡易性と課税ベースの包括性にあると言えます。

納税制度について

日本の納税制度において、税額の確定方法の代表的なものとして、「申告納税」「賦課課税」「源泉徴収」があります。

(1)申告納税

事業の所得にかかる「法人税」や個人の所得にかかる「所得税」などは、原則として納税者が自らの計算で税額を確定し、申告します。また、申告がない場合に限って、税務署長が決めます(これを「決定」と言う)。

(2)賦課課税

最初から税務署長が税額を確定させる(これを「賦課決定」と言う)方法を賦課課税と言い、一部の国税のほか、地方税の多くに採用されています。

(3)源泉徴収

給料利子のほか特定種類の所得については、それを支払う者が支払いをする時に決められた方法で税額(所得税)を計算し、その税額を支払う金額から予め差し引き、納税することをいいます。また、このように徴収された税金は、いわば所得税の概算払いであり、年末調整や確定申告で精算することになります。

課税ベースについて

課税ベースをどこに置くかという問題は、「負担能力」あるいは「支払能力」を判断する尺度として、何を採用するかということにほかなりません。

伝統的な議論としての課税ベースは、所得、支出(消費)、資産の三者です。すなわち、税体系を構築する上で重視する課税ベースが、所得ならば所得税・法人税等が中心に、消費ならば消費税等が中心に、また資産ならば相続税・固定資産税等が中心になる税体系となります。

これについては、それぞれに長所と短所があり、今日では、各課税ベースを相互補完的に組み合わせることで税体系が構築されています。