FXを外貨預金より安全かつ有利に使う方法

資産運用において、外国為替証拠金取引(FX)は、よくハイリスク・ハイリターンと言われています。これについては、10倍や20倍などレバレッジをかけて取引すれば、まさにその通りで「リスクの高い投機取引」になります。

その一方で、レバレッジを1倍程度にして取引するなら、FXは外貨預金よりもリスクが小さくなるだけではなく、収益機会も外貨預金より大きく、さらには為替リスクのヘッジまで出来ることは案外知られていません。

ここでは、「FXを外貨預金より安全かつ有利に使う方法」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

FXのレバレッジ1倍と外貨預金

外国為替証拠金取引(FX)でレバレッジを1倍にするとは、もし100万円の元手があったら、外貨預金と同じように100万円までしか取引しなければいいのです。

FXは、100万円の元手があったら、レバレッジが5倍で約500万円、10倍で約1000万円、20倍で約2000万円の取引が可能ですが、レバレッジを1倍程度にすれば、実は外貨預金よりも安全かつ有利に取引することができます。

通常、外貨預金で収益を上げるには長い時間が必要であり、しかも外貨預金を作成した時点で、為替コスト分だけすぐに損失が発生します。そして、その損失を埋めるだけでも、数円の円安を待たなければなりません。

FXと外貨預金を比べてみると

外国為替証拠金取引(FX)と外貨預金を比べた場合、商品の特性上、明らかにFXが有利であることが分かります。

特に、為替手数料(往復)を比べた場合、銀行の外貨預金はあまりにも高すぎます。また、収益機会という観点からも、数十銭の変動で収益が得られる可能性のあるFXは非常に魅力的といえます。以下に、FXと外貨預金のポイントを比較してみました。

商品 FX 外貨預金
取扱機関 外国為替取引会社、証券会社、銀行、商品取引会社など 銀行など
商品種類 証拠金取引 外貨定期預金、外貨普通預金・・・
通貨 米ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、NZドル/円、カナダドル/円、スイスフラン/円、ポンド/円、ユーロ/米ドル、トルコリラ/円、南アフリカランド/円・・・(非常に多彩) 米ドル、ユーロ、カナダドル、豪ドル、NZドル、ポンド、スイスフラン、香港ドルなど(対象通貨は限定)
リターン インカムゲイン(スワップポイント)
キャピタルゲイン(為替売買益)
インカムゲイン(利息)
キャピタルゲイン(為替差益)
リスク 為替リスク
レバレッジリスク
信用リスク(取引会社の倒産)
為替リスク
信用リスク(銀行の倒産)
預入期間 無期限 普通預金:無期限
定期預金:1カ月から1年など
為替手数料
(往復)
0円~20銭など
(非常に安い)
米ドル:2円
ユーロ:3円前後
豪ドル:4円~5円
NZドル:4円~5円
英ポンド:8円前後
(メガバンクの場合)
換金性 いつでも可能 普通預金はいつでも可能、定期預金は中途解約に制限あり

FXを外貨預金より安全かつ有利に使うには

外国為替証拠金取引(FX)は、商品の特性をよく理解すれば、外貨預金より有利な代替商品として活用することができます。その際の主なポイントは、以下の5点です。

1.レバレッジを1倍程度にしてリスクを抑える
2.ドルコスト平均法で購入単価を計画的に小さくする
3.利益が出たポジションは売りで為替ヘッジすることもできる
4.通貨を分散させることで、さらにリスク分散を図れる
5.最大レバレッジを2倍程度にすれば、投資余力を残せる

ここでは、具体的な内容について、順を追ってご説明します。

1.レバレッジを1倍程度にしてリスクを抑える

FXを始めるにあたっては、FX会社や証券会社などに「FX口座」を開設します。そして、口座開設後に一定の資金を入金すると、これが証拠金となり、最大で25倍のレバレッジを利かせた取引が可能になります。

一般にFXは、レバレッジを利かせれば確かにハイリスクですが、一方でレバレッジを1倍程度に抑えれば、外貨預金の代替商品として気軽に使うことができます。また、このレバレッジについては、実際に取引するポジションの限度額で調整します。

例えば、投資資金が100万円、レバレッジ1倍で米ドル/円で運用し、為替レートが1ドル=100円の場合は、1,000,000円÷100円=10,000ドルまでの運用となります。

2.ドルコスト平均法で購入単価を計画的に小さくする

為替リスクを低減するために、外貨預金でも数回に分けて預入するように、FXでも数回に分けて買いポジションを作成します。通常、外貨預金では、指値注文(為替レートを指定した注文)はできませんが、FXでは指値注文が簡単にできます。

例えば、以下のように無期限注文で計画的に買い下がると、外貨の買いポジションを自動的に作ることができます。なお、この場合も、為替動向を見て、定期的に指値レートを見直すことは必要になります。(円高が予想以上に進行しそうな場合は、レート幅を広げるなど指値レートを変更する)

<例:無期限注文で計画的に買い下がる>

・1ドル=105.00円で2000ドルの買い
・1ドル=102.50円で2000ドルの買い
・1ドル=100.00円で2000ドルの買い
・1ドル=97.50円で2000ドルの買い
・1ドル=95.00円で2000ドルの買い

3.利益が出たポジションは売りで為替ヘッジすることもできる

FXは、外貨預金と異なり、外貨の売りでも収益を上げることができます。

外貨の売りでは、スワップポイント(金利)を支払うため、多くの人は抵抗感を持つかもしれません。しかしながら、利益の出ている買いポジションの一部を為替ヘッジするのであれば、スワップポイントの受け払いで損をすることはありません(ヘッジが「受け取りスワップ」>「支払いスワップ」の場合)。

具体的には、両建て取引のできるFXにおいて、買いポジションの一部に対して、収益の出ているレートより高い売りポジジョンを作れば為替ヘッジができます。また、ヘッジした部分については、売りと買いの為替ポジションの為替差益(+受け払いのスワップポイント)から手数料分を除いたものが収益として確定できます。

なお、この為替ヘッジについては、円安が進行した場合は、両方を同時に決済することで、いつでも収益を実現できます。また、円高が進行した場合は、買いポジションでは損失が発生しますが、売りポジションでは利益が発生するので、売りポジションの利益を先に実現させてもよいかと思います。

4.通貨を分散させることで、さらにリスク分散を図れる

FXで、1000通貨単位(10万円相当)の取引ができる場合、限られた資金で複数の通貨に気軽に分散投資をすることができます。

一般にFXの良いところは、手数料が通貨によらず一律のため、どの通貨を選んでも手数料で不利にならないことです。そのため、複数の通貨で指値注文を出しておくと、約定する度に通貨分散を図ることができ、FX全体の為替リスクを低減させることができます。

5.最大レバレッジを2倍程度にすれば、投資余力を残せる

FXを外貨預金より安全かつ有利に使うには、レバレッジを1倍程度に抑えることがポイントですが、慣れてきた場合、もう少しレバレッジを高めたいと思うことがあります。

そういった場合でも、最大レバレッジを2倍程度にして、1倍を超えた部分は為替ヘッジのための売りポジション作成用や、また相場変動時の投資余力として残しておくのが良いかと思います。実際のところ、1年に数回は相場が大きく変動する時があり、そういった時に「投資余力」があると柔軟に対応できます。

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