物価連動国債

物価連動国債は、「インフレ連動国債」とも呼ばれ、物価動向に合わせて、元本が変わる国債をいいます。これは、満期まで利率は変わりませんが、元本が物価の変動に合わせて変動するため、受け取れる利子が増えたり減ったりする仕組みになっています。

1981年に英国が世界で初めて発行したのを皮切りに、現在、欧米では国債全体に占める割合が10%を超えるなど普及が進んでいるのに対して、日本ではまだ国債全体に占める割合が非常に小さいですが、今後拡大する可能性があります。

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物価連動国債の仕組み

国債発行の中心となる固定利付国債では、発行時の元本が償還時まで不変で、利率も全ての利払いにおいて同一なため、利子の額は各利払いにおいて同一で、また償還時には、最後の利子と発行時の元本(額面金額)が支払われることになります。

一方で、物価連動国債では、表面利率は発行時に固定され、全利払いを通じて同一となっていますが、物価の変動に連動して元本が増減するため、発行後に物価が上昇(下落)すれば、その上昇率に応じて元本(想定元金額)が増加(減少)し、これによって受け取れる利子が変わってきます。

・償還額:償還時点での想定元金額
・利子額:各利払時の想定元金額に表面利率を乗じて算出

なお、物価が持続的に下落するデフレに対しては、元本割れするタイプと、利率を低く抑える代わりに元本を保証するタイプの二つがあります。

物価連動国債の主な特徴

物価連動国債は、通常の国債とは大きく異なり、以下のような特徴があります。

◎日本では、機関投資家向けにしか発行されておらず、個人投資家は直接購入することはできないが、物価連動国債ファンドを通して間接的に投資することは可能である。

◎世の中の物価の動きに合せて、元本も変動(増減)するように設計されているため、物価が上がると利回りが上がり、反対に物価が下がると利回りも下がるという仕組みになっている。

◎表面利率は一定で、物価上昇(インフレ)により元本が増加すれば利子の額も増加するため、インフレになっても実質的な資産価値の目減りを回避することができる。その一方で、物価が下がれば、元本を減らす仕組みとなっている(元本保証のものもあり)。

◎短期的には、「実質金利(固定利付債利回り-将来の物価上昇率予測)」の変動によって価格は変動する。

物価連動国債の基本事項

物価連動国債は、日本では、財務省が金融機関等の機関投資家を対象に2004年3月から発行を始め、また物価の指標には、総務省が発表する「全国消費者物価指数(生鮮品を除く総合指数、CPI)」を使っています。

発行対象 機関投資家(個人は購入できない)
連動指数 全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)
金利種類 固定金利
関連マーケット 長期金融市場 (債券市場)
満期 10年
発行日 原則として、10日(10日が銀行休業日の場合は翌営業日)
最低額面金額 10万円(振替単位は10万円の整数倍)
利払い 半年毎に利払い
利子額計算 利子額=利払日の想定元金額×表面利率/100×1/2
償還金額 償還日の想定元金額
備考 2013年度以降に発行されるものについては、
・元本保証があり
・償還時の連動係数が1を下回る場合には額面金額とする

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